第三章 第104話 天声会議 ―2―
「あなたが『
口調こそ丁寧だが、カミレヴィーラがアーラオルドに向ける視線は、氷のように冷えきっていた。
カミレヴィーラ・エルヴェスタム――彼女は
文字通り
ここでは詳細は省くが、レアリウスは極端なまでの分権・分業制を取っている。
どの部門も単独では決して活動し得ない体制とすることで、一部が暴走しないように抑えてきたのである。
そして、五司徒が集まる会議――
「…………これはまた、失礼をいたしましたな」
カミレヴィーラの声が通った途端、アーラオルドは何やらスイッチが切れたのか、はたまた
「とは言え、先のカルヴァレスト殿の言いようが、断じて認められぬことに変わりはありませぬぞ? 『
冗談ではないのだがな……とイングレイは思った。
彼自身、
しかし彼は、絶対にレアリウスを潰してしまうわけにはいかないと考えている。
そのためにはどうしても、
レアリウスは――肥大化し過ぎた。
それも、無駄な方向に。
レアリウスの中心である「
そもそも、魔石を用いた
それ以外のいかなる存在も、いかなる理由を以ってしても、魔石を取り扱うことは許されていない。
唯一の例外は、望星教会自身が
これは遺族が故人を
遺族から希望があった場合、望星教会は遺体を
望星教会の、あの不気味な
故に、
しかし、いくら時間がないとは言え、「
研究のために、
そして自衛の必要性と、研究が
――しかも、だ。
イングレイは密かにこぶしを握り締めた。
望星教会の攻撃で
更に
五司徒全員の了承の
しかし
「冗談ではないとおっしゃいますが」
イングレイの思考を中断させたのは、カミレヴィーラの言葉だった。
「実際問題、カルヴァレスト殿の主張通り、
「
アクセリオ・インメルバルツが事も無げに答える。
「たとえ
「そこを何とかするのが
「『
「カルヴァレスト」
今度は
「望星教会のことはともかく、『
「……なくも、ないと言っておこう」
イングレイは
彼自身、「
しかし「花冠」を奪い去ったことが聖会を敵に回した原因であることは間違いなく、返却すれば態度が軟化することについて、イングレイは確信めいたものを感じていた。
そうでなければ、あの場でディアブラントが「花冠」の話を持ち出すわけがない。
イングレイは、今度はアーラオルド・ハンブレーウスに向き直って言った。
「そもそも考えてみるがいい、ハンブレーウス。貴殿はなぜ聖会から『
「知れたことでありましょう。『
「それで、制御方法を掴むのに『花冠』は役に立ったのか?」
「……」
言葉に
意地の悪い
そして、アーラオルドの
それでも、レアリウスでこれ以上「花冠」を所持する意味がないことをはっきりさせるためには、問わずにいるわけにはいかないのだ。
「先ほどエルヴェスタム殿が触れたように、貴殿が
「勝手に決めつけないでもらいたいですな。『
「十年以上もかかって、なお?」
「ぐっ……そうですよ……」
アーラオルドの
彼にしては、非常な努力を以って激発しそうになる感情を抑えているようだ。
しかしイングレイは、容赦しなかった。
「ハンブレーウス。貴殿には悪いが、絶望的な事実を伝えるとしよう」
「な、何……?」
「とは言え、この結論には貴殿もたどり着いているのでは?」
「……」
「『
「……言うな」
「
「言うな――――――――――――っ!!!!!」
アーラオルド・ハンブレーウスは叫びながら再び立ち上がると、髪を掻きむしりながら奇声を上げ始めた。
その目を血走らせながら、彼は
「言うな言うな言うな言うな言うな言うな、言うな――――――っ!!!!!」
引き金を引いたイングレイはもちろん、
ヴラキュール・フレイヴァローアは、立場こそ
彼は、危うく
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