第三章 第102話 覚悟2
ザハド
レアリウス
向かう先は、
レアリウスを
長い通路をゆっくり進んでいると、後ろから何者かの足音が響いてきた。
少し駆け足らしい。
イングレイが肩越しに視線を背後に
「
「……デシーか」
それは、デアシルカ・エヴェリアだった。
ザハドにおける彼女の
が、実のところはレアリウスにおけるイングレイ直属の
かつて
その際、リューグラム卿が
もちろん現在でも、
デアシルカの商会は当然、レアリウスのザハドにおける隠れ
一週間ほど前に、
デアシルカが追いつくと、二人は肩を並べて歩き始めた。
イングレイもデアシルカも黙ったままである。
しかし、まるでその代わりとでも言いたげな様子で、二人の左胸の辺りで
それは――
字義の通り、レアリウスにおける
この石にはどういった
つまり、この二人は今まさに、精神感応で
(ご指示いただいた件、完了しております)
(そうか。ご苦労)
階級章を見れば、その人物が精神感応を交わしているということが、周囲には
(それにしても……ヘルマイア(・オズワルコス)の
(よい。気付かず
レアリウスにおいては、精神感応で情報交換することは
しかし
仮に精神感応を使ったことが発覚した場合、
それは、五司徒とて例外ではない。
(――こちらも
(確かに。それでは、例の『リョウスケ・ヤオトメ』たちを追えという指示も……)
(もちろん、私が出したものではない。オジー――オズワルコスが私の名を無断で使ったようだな)
(あやつ……どうしてくれよう)
(まあ待て)
無表情のまま歩き続ける二人だが、デアシルカから伝わってくる猛烈な
(やつは恐らく、我々が気付いたことをまだ知らない。分かっていればいくらでもやりようはあるのだ。そのまま泳がせておけばよい)
(ですが……)
(
(……
(では行け。これからが
(はい)
デアシルカはレアリウス式の
彼女の背中を
――そうしてイングレイがたどり着いたのは、ある
扉の中央付近にある、ソフトボール
彼が足を踏み入れたそこは
後ろの扉が閉じてから、イングレイは二つ目の扉の半球に手を置く。
そして――彼の目の前に広がった空間こそが、
中央には巨大な
イングレイ以外の椅子の
五司徒に上下の差はなく、建前上は平等である。
そのために円卓を使用しているわけだが、会議を円滑に進めるためには進行役というものがあった方が都合がいい。
故に「
そして、本日の議長は――イングレイ。
議長は議場に最後に到着し、議長が着席することによって会議が始まるのだ。
イングレイは自席に向かい、歩く。
そして、着席する前に出席者の四人をぐるりと左から見回した。
四人の階級章が何の光をも
――決死の覚悟を、もって。
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