第三章 第50話 四者会談 ―8―
「……
何かを諦めたような口調で、カルヴァレストさんが言葉を絞り出した。
どうして、こんなに言いにくそうな感じなんだろうか。
「
「へえ、単なる神話上のものじゃなくて、ちゃんと実在してるんですね」
「ええ……」
……何か変な雰囲気だな。
カルヴァレストさんの様子が、何と言うか……変だ。
「イングレイが
「はい、何か理由でもあるんですか?」
「それはだな」
リューグラムさんは、ちらとカルヴァレストさんを
「――レアリウスは、『
「え?」
どういうことだ?
落ちてたのを拾ったとか? ――いやいや、そんな馬鹿な。
「八乙女様。『
「ええ!? 強奪って……奪い取ったってことですか?」
「その通りでございます。それもやはり、十年前に起きた
視線を落としながら告白する、カルヴァレストさん。
「先述した
「一般には知られていないが、『
カルヴァレストさんの話を補足する形で、リューグラムさんが言葉を添える。
ってことは、最後の『
「
「そういうことだ、八乙女さん。レアリウスは、例の聖会から『
「なるほど……」
そうか。
元々聖会の
カルヴァレストさんが変な空気を出してたのは、後ろめたいからか?
『
――問題はその、今はレアリウスにあるという『
普通に考えて、そんな伝説的なものをおいそれと渡してくれるわけはないだろう。
わざわざ強奪してまで入手したものなら、なおさらだ。
「イングレイよ。結局のところ、『
「いえ、それが」
小さく首を横に振るカルヴァレストさん。
「込められていると伝えられている『
「それはそうであろうよ、イングレイ」
リューグラムさんは薄く笑って、言った。
「
「やはりそうでしたか……。レアリウスでも、そのようなことではないかと言う
「もっと言えばな、イングレイよ。
「何と……そこまで
「そうさ」
にやりと笑う、リューグラムさん。
「もちろん、『
「……先日、当屋敷を訪れた
「ああ」
リューグラムさんはそう答えると、目を
何かを思い出しているかのような、表情だ。
※※※
「それでは、その『
「そうです。
「何と……」
それは、十日ほど前。
聖会の巫女ことウルティナが二人の
「
「……確証はありませんが、推測はしております」
「やはりあるのですね。それは今、どこに?」
リューグラムの問いに、ウルティナは首を横に振る。
「恐らく、
「わ、分かりました。しかし、けしからんのはレアリウスですね。
「彼らの
「な、何故そのようなことを!?」
思わず
「聖会を荒らされたくなかったからです。どのみち、
「しかし、やけを起こしてレアリウスが破壊するといった恐れもあるのでは?」
「その心配もありません。
「え? それは……
ウルティナは再び微笑んだ。
今度は、ちょっと
「エレディールの
「え、あ、はい。
「ええ。
※※※
リューグラムさんが、突然
一体、何を考えていたんだろう。
そんな弾爵様は、大きくため息をひとつ
「そんなわけで、八乙女さん。あなたが
「
「まあ、そうだろうね」
リューグラムさんは、予想外に軽く応じた。
きっと彼自身、相当無理筋な話だと分かっているんだろう。
「とは言っても、
「少なくとも、私たちがエレディールに転移させられたのは、ある人物の手によるものだと言うことは分かっています」
「ふむ……ならばその
さすがにリューグラムさんは察しがいいな。
「そうです。先ほど私が情報を求めた人物――『ゆうご・ほんだ』が、私たちを日本からエレディールに転移させた張本人なんです。私はヴァルクス家で、彼の情報が得られるんじゃないかという希望を持っています」
すると、ずっと黙って話を聞いていたコレットの肩が、ぴくりと揺れたのが視界の
そう言えばさっきも、彼の名前を挙げた時に「あ」とか言ってたな……。
「コレット、もしかして君、『ゆうご・ほんだ』について何か知ってるのか?」
「え? あの、えーと……」
口ごもるコレット。
しかし、「知らない」と言わない辺り、何か隠しているのか?
「あのですね、
「本当なのか?」
「はい……ただ、そのまんまじゃなくて……ちょっと違うって言うか」
「何て人なんだ? 言ってみてくれ」
何てこった。
こんな身近に、もしかしたらヒントが転がってたなんて。
「私たちが
「ああ」
「そのアウレリィナ様が、さらにお仕えしている方がいまして……」
「その人がそうなのか? 何て名前なんだ?」
「えーと……」
おい、じれったいぞ!
「その方のお名前は――――ユーゴ・フォンダン゠イルエス」
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