第三章 第49話 四者会談 ―7―
とりあえず、
あとは
いろいろと混乱しつつも、当初ユーリコレットたちから聞いていたレアリウスの印象は、俺的には大分変わったように感じている。
俺たちの命を狙っていたオズワルコスさんの手の者ってのは、つまるところレアリウスの中の急進派と言うか、
そいつらがどういうわけか鏡先生と繋がって、彼の依頼で俺たちを消そうとしたのだろう――口封じのために。
今後、俺たちの身の安全が保障されるかどうかは、リューグラムさんの答えにかかっていると言えるわけだが、さて。
「レアリウスの
「
「……ひとつ、大きな
「何でございましょうか」
大きな咳払いをしてから、リューグラムさんは続けた。
「仮に私が、お前たちの
「と、仰いますと……」
「新たに得た『デンキ』の
「はい、その
「はっきり言うが、可能性だけではダメなのだ。お前の話によれば、合一に
「それは、確かに……」
「それに、だ。仮にお前たちが取り組んでいることが、実際に合一を阻止し
珍しいことに、カルヴァレストさんが黙り込む。
リューグラムさんが指摘したのと同じことを、俺だって何となく思っていた。
ここまで見てきて、カルヴァレストさんほど理知的で能力のある人が、そこに気付いていないわけがないだろう。
「私はな、イングレイよ。その、遥かな昔に
「いえ……残念ながら存じ上げません。それについては伝わっておりませぬが
「ならば
厳しい表情で言い渡すリューグラムさん。
カルヴァレストさんは、黙ったままだ。
俺は……どう考えたらいいんだろうか。
元の世界へ帰るためには、合一ってのが起こった方が多分都合がいいはずだ。
まあ、どうやってここから日本へたどり着くかって問題はあるけど。
でも、合一が起きた結果、どんなことが起こるか分からないと言われると、な。
カルヴァレストさんは、要するに「地が
その時の様子は、例の神話によれば、
――建物は
――
……だとか。
そんなことが再びエレディールに、そしてもしかしたら日本にも起こるかも知れないなんて、冗談じゃない。
合一なんて、起こってもらっちゃ困る。
そう言う意味で、カルヴァレストさんの主張することに肩入れしたくなるよな。
反面、合一を阻止することは出来ないって話もあるんだ。
合一が自然現象なのかどうなのか、俺には判断がつかないけれど、少なくとも台風とか地震みたいな自然災害みたいなものだとすれば、とても人の身で何とか出来るものじゃないって考える
……日本に帰るための情報収集のつもりで参加したけれど、何だかどえらい問題に巻き込まれてしまった気がする。
いや、どのみち彼らの言うことが本当なら、いずれ世界中の人たちが巻き込まれてしまう話と言うべきか。
……困った。
リューグラムさんはもカルヴァレストさんも、黙ったまま。
俺は俺で考えがまとまらず、発する言葉もない。
そして、二十秒ほど何とも重苦しい空気に包まれたままだったところに、不意にリューグラムさんが口を
「
「え、あ、はい」
「私とイングレイの話ばかりになってしまって、申し訳ない」
「いえ、大事なお話ですから」
「八乙女さんたちは、オーゼリアのヴァルクス家に無事にたどり着くことが
「はい、そうです」
「そして、それはニホンへ帰る方法についての
「はい」
空気を変える為か、俺への気遣いか、リューグラムさんから俺たちのことについて話題を振ってくれた。
「ヴァルクス家の件とは別に、もしかしたら元の世界へ帰る方法について、手掛かりとなり得る情報があるのだが……聞きたいかね」
「え、それはもちろん」
マジか。
「ひとつ断っておくと、手掛かりと言ってもとても
……何だか、やけにもったいぶるな。
と言うか、そんなにふわふわした話なのか?
それでも今は、ひとつでも多くの情報が欲しいんだから、答えは決まってるよな。
「聞かせてもらいたいです」
「よかろう。イングレイ」
「……」
「イングレイ?」
「……はっ、何でございましょう」
突然呼ばれて、さすがのカルヴァレストさんも驚いている。
まあ、無理もないけどね。
「先ほど話題に
「はい、もちろんでございます」
「ならば……」
少し斜め上を向いて、何かを思い出そうとするリューグラムさん。
思い当たることがあったのか、ひとつ手を叩いてカルヴァレストさんに言った。
「
「かしこまりました。ただひとつ、申し上げてよろしいでしょうか?」
「ん? 何だ?」
「父なる神ギードスと言うのは、誤って伝えられた
「何だと?」
しかしカルヴァレストさんはもう答えず、リューグラムさんに指示された部分の神話を暗誦し始めた。
――ある日、
――ミラドは彼を
――父よ、
――そう言って主神の
――
――我は去り、そなたたちをこれから見守る
――『
――しかし、ミラドはゆっくりと首を横に振って言いました。
――
――もし我らが
――
――しかし、『
「そこまででよい。八乙女さん、聞いていたかね?」
「あ、はい」
ここで神話を聞かされる
「今イングレイが
「えーと、言われてみればそんな気も……」
「……!」
ここで、
「その、三つの神器の一つである『
「はあ……」
「三つの神器と言うからには、あと二つあると言うのは、分かるね?」
「ええ、確かに……」
まあ日本にも偶然、
それぞれ今でもちゃんと保存されて伝わっているらしいんだけど、そういう
……ん?
まさか……
「
「はあ……」
「そして、三つ全てを集めると、『
やっぱり。
マンガやゲームにある、特別な力を持ったアイテム集めみたいな感じか。
まあ情報と言えば情報だけど、あまりに現実離れしているとしか言いようがない。
「しかし、それは神話なんですよね?」
「そうだ。残念ながら、ただの神話に過ぎん――と言いたいところだが」
そこでリューグラムさんは、カルヴァレストさんに視線を移した。
「先日得た情報によると、
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