第三章 第47話 四者会談 ―5―
正直なところ、頭が
だけどこのまま、分からないまま話を進められては困ってしまう。
あ、ちなみだが、とても口頭での会話だけじゃつかみきれないことが多すぎるので、必要に応じて
「ちょっと話を整理させてください! すみません」
「どうぞ、
「ありがとうございます。今、カルヴァレストさんが言ったことはつまり、『神様たちが戦ったことでエルカレンガが起きた』ということでしょうか?」
俺の質問に、カルヴァレストさんは困ったように眉根を寄せた。
これまで立て板に水の如くすらすらと話していた彼にしては珍しく、何かを考えている
リューグラムさんは、何も言わずにカルヴァレストさんを見ている。
「失礼いたしました。
……余計に分からなくなった。
戦いそのものは起きてないのに、エルカレンガは起きた?
「
それは、そう。
まあ時の権力者たちが、自分たちに都合よくでっち上げたり、
……ってことはあれか?
神様たちのバトルじゃなかったかも知れない。
でも、何かが起こって、それがエルカレンガに繋がったって言いたいのか?
「それならカルヴァレストさん、神様の戦争じゃないのなら、何が起こったって言うんでしょうか」
「八乙女様、それにお答えする前に我がカルヴァレスト家について知っておいていただきたいことがございます」
「……? はあ」
そう言うと、カルヴァレストさんはリューグラムさんに向き直って問い掛けた。
「御屋形様、
突然、カルヴァレスト家の素性を尋ねられたリューグラムさんは、少しだけ虚を突かれた感じで、それでも記憶を
「カルヴァレスト家は……代々、我が
「仰る通りでございます。しかし我が家の始祖は、遥かな古代にまで
何だ何だ!?
歴史の話が始まったんだが。
関係あるのか? これ。
「当時、数ある属国のひとつの
「ふむ」
「そのごたごたに紛れて、それまでにカルヴァレスト家に長きに渡って蓄積されていた蔵書や記録の多くは
ナユーノ・イステル……
「そして、
あるお
テリウス……剥がされた地?
この世界がアリウスって言うのなら、テリウスは――――
「イングレイよ、あるお方と言うのは――」
「
あれ……
確か、コレットたちと話していた時に名前が出てたな。
何でも、大昔にその聖会から分離する形でレアリウスが出来たって言ってた。
「あの、カルヴァレストさん」
「何でしょう、
「私が聞いた話ですと、レアリウスはその聖会から分かれて出来たってことなんですけれど……」
俺の言葉を聞いたカルヴァレストさんは、少しだけ目を見開いて、感心したように答えた。
「これは……八乙女様も既にその話を聞き及んでいらっしゃったのですね。結果的には仰る通りになります。そのお方が
「つまり、だからこそカルヴァレスト家には、レアリウスに関する詳細が伝わっていると言いたかったわけだな? イングレイよ」
「
軽く頭を下げるカルヴァレストさんに、リューグラムさんは少々顔を
「お前の発言の
「かしこまりました、御屋形様」
改めて俺の方へ向き直るカルヴァレストさん。
俺の問いというのはもちろん、神々の戦争じゃなければ何が起きたんだという話。
しかし……もちろんその答えも気になるが、何度も出てきている『
相当な重要人物のようだけれど、聖会を作ったり、レアリウスを部門として立ち上げたりしたってことは、つまりは過去の人物だ。
余計に話をややこしくしないために、聞くのは後回しにしておこう。
「ここからが、レアリウスの存在意義に直結する話になるのございます」
カルヴァレストさんは、そう前置きして話を続ける。
「正直なところを申し上げまして、
アヴァロア……
王って、王様か?
「何故そのような存在が生じたのかは、一切分かっておりません。知る限りの知識から導き出した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます