第三章 第46話 四者会談 ―4―
「なっ…………!」
阻止、する? ……って、どうして?
いや、落ち着け……俺。
いちいち言葉尻だけで、脊髄反射するのはよくない。
皆の前だけど、俺は敢えて深呼吸をした。
そんな俺を、リューグラムさんとコレットは心配そうに見ているし、カルヴァレストさんは微妙に視線をずらして、こっちを見ているようで見ていない感じだ。
「イングレイよ。率直な物言いは私も好むところではあるが、事が事だけにもう少し
「仰せの通りにございます、
「も、もちろんです。お願いします」
どうやら、話には続きがあるらしい。
俺はどうも、こっちの一番大事な柱である「元の世界に帰る」ことを全否定されたような気がして、情けなくも動揺してしまったようだ。
カルヴァレストさんの意図がどんなことであったとしても、まずは話を全部聞いてから判断して、対策すればいいだけのこと。
落ち着けっての、俺。
「まず結論から申し上げますと、合一によって
「……分かりません。でも、大変なことになるかもしれない、とぼんやり思います」
「
「イングレイよ、敢えて反論させてもらおうが、合一などという
リューグラムさんの指摘に、カルヴァレストさんは
「確かに、その可能性もありましょう。しかし、起きてしまってからでは遅いとレアリウスでは考えております。御屋形様は
「ぐ……それは……」
「それに、結果を全く予想出来ないというわけでもないのでございます」
「何?」
「……
「星祭り?
「いかにも」
星祭り、か。
エレディールの一年の終わりに五日間かけて大々的に開かれる、あのお祭り。
何だか懐かしくも、複雑な気持ちを思い出させる言葉だ。
腹ペコで過ごした最初の三日間。
そう言えば四日目、上野原さんと一緒に演劇を
最終日にはみんなで不思議な団子を作って、それが夜空に舞い上がって描いた美しい星空を、一人で眺めた。
そんでもって――――
「星祭りにおいて、開催されるどの
「それはもちろん、知っている」
「
「そうだな、確か
そう。
そもそも星祭りってのは、エレディールの神話に伝わっているある出来事を、五日間かけて追体験するという意図があったはず。
その神話は、
まあ俺たちが元いた世界にも、
「その通りでございます。あの
ゲルトゥスって……カルヴァレストさんの目が怖いんだが。
そう言えばさっき、リューグラムさんが言ってたな。
あの時のカルヴァレストさんの話と合わせて考えると、レアリウスと望星教会が十年前に大規模な抗争を引き起こしたってことか?
それならまあ、今のカルヴァレストさんの表情にも納得はいく。
「もちろん、あの書に書かれている全てが
「ふむ……望星教会の何が
「はい、『
星祭りの時に、リィナたちから聞かされた物語。
確か……神様たちがたくさんいて、結構大物の一人が反乱を起こした。
結局、反乱を起こした方は地の底だかに落ちていったけれど、起こされた方の神様たちも大怪我をしたりした上に、その影響で地上がめちゃくちゃになった、と。
で、生き残った神様たちが力を合わせて復興に尽くした……みたいな内容だった。
「
「はあ……どうも」
「問題は、その内容が偽りであることにあるのですが、ここはその
「世界が、闇に……。その描写をもし覚えているのなら、ここで
「
カルヴァレストさんが、語り出す。
――神々が
――建物は
――
……あー、言われてみればそんな感じだった。
ただ、確かに地上の人たちにとっては天災とも言える過酷な出来事だったんだろうけれど、それが合一の結果として起こること同じだって言う根拠は何だ?
リューグラムさんも同じ気持ちだったようで、その辺のことをカルヴァレストさんに問い
「当然の疑問でございましょう。それは、『
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