第三章 第42話 武者震い
「
「何だ」
「本日は、
「……」
「もうじき
「ああ」
「それでは
「分かった」
――ディアブラント・アドラス・リューグラム。
エレディール
そのディアブラントが、リューグラム家の
彼自身も以前から怪しみ、
リューグラム家ではレアリウスについて長らく
特に十年前、ピケ
そんな危うい組織の、しかも「
彼の脳内では、想定されるさまざまな事態とそれに対する手立てがいくつも交錯していた。
中には最悪の展開をも想定し、思い切った決断が必要になるものもあった。
――そんな中、何と当のカルヴァレストから「非常に大切な話があるので、とある人物を交えて
「あやつ、一体どういうつもりなんでしょうか」
彼の後ろで、
「何かよからぬことを企んでいないとも限りません、ディアブラント様」
「分かっているさ、ラーシュ」
従者の言葉に、
「だが、いい
「ニホンジン……でしたね」
「ああ、イングレイの
「あやつ、きちんと
「それに、ヴァルクス家
「はい。あの家とも
「ラーシュ」
若干
「
「
「そうか」
ラーシュリウスの答えに、ディアブラントは満足そうに頷くと
「もうじき全てが明らかになる。せいぜい気張っていくとしよう、ラーシュ」
「はっ」
◇
「
コレットが車窓の外を指さして、はしゃいだ声を上げた。
「おお……これはなかなか」
馬車の中から見た領主屋敷の、一発目の感想は「四角い!」だ。
ザハドの代官屋敷が、フランスのアゼ=ル=リドー城というイメージなら、こっちはスウェーデンのストックホルム宮殿だな。
海に面しているわけじゃないから、見た感じがって話ね。
一応、どんな話し合いになってもいいように、心構えはビシッとしてきたつもりではあるけれど……やっぱり緊張してきた。
リューグラムさんに会うのが初めてじゃないにしても、あの時と今では状況が全然ちがうわけだからさ。
そんな中、緊張の
言葉だって、あの頃に比べればそれなりに上達しているし……大丈夫だろう。
「
馬車はガラガラと音を立てながら門をくぐり、美しく刈り込まれた前庭の中をゆっくりと進んでいく。
そして、玄関のところに横付けするように止まると、御者が降りてきてドアを丁寧に開けてくれた。
まず最初にコレットが、続いて俺が、そして瑠奈が下車する。
「
そこで迎え出てくれていたのは、カルヴァレストさんと恐らく使用人の皆さん。
と言うことは……カルヴァレストさんはリューグラム家の人なのか?
何となく、
「
そう言って開けてくれた扉の向こうに、いかにも
(お、おう?)
突然、上半身が勝手にぶるりと震えるのが分かった。
瑠奈が、俺の手をぎゅっと握ってきた。
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