第三章 第18話 拠点
「そうですか、あの
ほっとした表情で、ダルビナーツ・カシミアレスはため息をついた。
ここは、
一度に二十人ほどが着席できる大きな
両者は地上にある「
当初はその場で
安堵するダルビナーツに、ウルティナはにこやかに答えた。
「ええ、彼らも転移してからいろいろあったようですが、今は信用のおける家で
「何とも彼女らしいことです。それにしても……いえ、疑うわけではありませんが、まさか
「転移した当時、何か変わったことなどありませんでしたか?」
「それらしいことは何も。ただ、住民の多くがごく小さな
「違和感……ですか」
「はい」
ダルビナーツは、何かを思い出そうとするかのように
「あいにく私はまったく気づかなかったわけですが、あれは確か
「違和感があったことをでしょうか」
「もちろんそのこともそうですが、何よりある
「そこが、ベーヴェルス
「いかにもそうです。ところが土を掘れども掘れども、彼らの居住区は一向に見つかりませんでした。ぞっとしない想像でしたが、もしかして潰されてしまったのかとも考えました。しかし、それにしても
「
ウルティナは頷いて言った。
肩を
「
その様子については、先ほど案内されたウルティナ達は既に見て知っていた。
そこにあったのは、途中で九十度に折れ曲がった、日本語で言う細長い
「
「『
ダルビナーツばかりではなく、彼の後ろに控えている住人たちも同様に、深く腰を折っている。
先ほど地上の『リーズ・エレオーヌ』であれほど強気な
「しかしあなた様は……」
「わたくしは聖会の
「…………承知いたしました。それでは、
「ありがとうございます」
ダルビナーツは振り返り、住人たちに告げた。
「皆もそのようにお呼びするのだ。
住人たちは黙ったまま、しっかりと
ダルビナーツは、
「して巫女様。私たちに
「はい。単刀直入に言いますと、こちらに
「拠点、ですか?」
「ええ。先ほど言った、ベーヴェルス母子と引き換えにこちらに転移してきた『ガッコウ』に目を配っておくために、
「なるほど」
ウルティナは視線を上げた。
「土で埋もれたと言う場所の
「うーむ……」
ダルビナーツは腕を組んで唸ると、何やらしばらく考えていた。
聖会の一行は、ただ黙って彼が口を開くのを待った。
そして――
「ブレクサンド」
「はい」
「居住区に
「……はい」
少し考えてから、ブレクサンドは答えた。
「ただ、崩れた場所からかなり離れてしまいます。
「ふむ……というわけですが、いかがでしょう、巫女様」
「ありがとうございます。お言葉に甘えたいと思います。交代しながら常時二人ずつ
「それはありがたく存じます」
ウルティナの申し出に、ダルビナーツは
心の中で、ウルティナはほっとため息をついた。
思いの
それから、必要なさまざまなことを取り決めた
◇
ウルティナは、エレディールに戻るや否や、精力的に動いていた。
まずは、彼女が
「
ここら一帯の
すべては、
しかしこの時点ではまだ、
ウルティナがその事実、そして涼介と
――――そして。
レアリウスの
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