第三章 第15話 ディアブラントとウルティナ ―3―
「……今
ディアブラント・アドラス・リューグラムは、驚きを隠そうともせずに尋ねた。
彼にとって衝撃の事実を伝えたウルティナの方はと言うと、特に顔色を変えるようなこともなく、淡々と答える。
「現時点ではあくまで
「そうですか……」
ディアブラントは
彼の後ろに立つ
「我が恥を
「何か手立てを講じられていたのですか?」
「いえ」
苦し気に
「泳がせていました。彼らの目的がどうにも分からないからです。少なくともイングレイは、家宰としての仕事はまっとうしておりましたし、我が家に、ひいては我が
「彼らは十年前のピケでの事件をきっかけに、それまで以上に地下に
「……八年前です。しかし父の
ディアブラントはひとつ大きな
その様子を、ウルティナは黙ったまま注意深く見つめていた。
しばらくすると、ディアブラントは顔を上げて口を開いた。
「巫女殿、あなたは先ほどレアリウスを滅ぼすべしと仰った。当家の
「はい」
「ならば教えていただきたい。レアリウスは一体何をしようとしているのですか? 我が領地の何かを狙っているのですか? それとも、我が
「そのどちらでもありません。彼らは」
ディアブラントの眼を正面からしっかりと見据え、ウルティナは答えた。
「
「ミラン、イース……?」
「
「確か、『祖の地よとこしえに』でしたか……あっ」
「そうです。彼らは
「ちょ、
ディアブラントは再び、ウルティナの言葉を右手で制して
「合一とは何です? いえ、意味としては分かりますが、レアリウスが阻止しようとする合一というものに、私は全く心当たりがありません」
「合一を……ご存知ない、と?」
「ええ」
ウルティナはわずかに顔を
「やはり、
「白き人の、件?」
それはかつて、ザハドの
エレディールの
国と言っても住んでいるのは元々エレディールの民であり、いわば同君連合と言うべき体制である。
しかし五十年ほど前、「白き人」と呼ばれる謎の
王家の
その件と、レアリウスの話。
一体何の関係があるのか――ディアブラントにはまったく分からない。
しかも
王家がそれを周知していないとも。
「先に教えていただきたい。巫女殿は……聖会とは一体何なのですか?」
ディアブラントは
「レアリウスも
「協力を
「そう仰っていただけると助かりますよ」
ディアブラントは再び
「まず、そもそも
「その認識で間違いありません」
「いや……そもそもなぜザハドなんですかね。望星教会はもちろん、他の宗教組織も私の知る限り、大抵は
「当然の疑問ですね」
ウルティナは小さくうなずきながら答えた。
「聖会が何たるか……まず言えるのが、いずれ
「……当然、一般的に使われる
「ええ。『合一』は『すれ違い』の果てに起こる
いよいよディアブラントは、首を
◇
そして、
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