第三章 第12話 突然の訪問
ここで物語は、ほんの少しだけ時を
それは、
◇◇◇
ディアブラント・アドラス・リューグラムは、
そんな若き
「ラーシュ、もう一度言ってくれ。誰が
「はい。
エレディールにおいて、遠く離れた場所と連絡を取るための一般的な手段は
ちなみに八乙女涼介はギオリアラを「精神
この魔素線の仕組みをさらに遠距離で使用可能にしたものが「黒針」なのである。
と言っても誰もが使えるというものではない。
形状はその名の通り、真っ黒な石で出来た針のようなもので、もう少し詳しく言うのなら「つるつると
そして――それはかつて涼介が東の森で発見し、彼が人生で初めて気絶する原因となった黒い石碑のようなものと同一の装置だった。
「聖会の、巫女が……本人に間違いはないのか?」
「向こうで確認した限りでは、本人に相違ないと」
「そうか……うーむ」
いまだ謎多き組織。
「どうされますか? 今日は『
「……とりあえず小刀については後回しでいい。既に『ミブ』は
「確か、ローザント
「ならばそちらは
「よろしいのですか?」
「ああ。もう少し泳がせておこう。あとは
「
「しかし突然、一体何の用で……」
「推測ですが、
「あの『ニホンジン』たちか?
「確かに……」
◇◇◇
そして、二日後。
屋敷側では、訪問者を応接室へ丁重に案内した。
「しかし本当によろしかったのですか? 今からでも
「急な
「それならよいのですが」
豪華な
ディアブラントの後ろにはラーシュリウスが立ち、ウルティナの背後には
「とにかく、我が家にかの有名な
「こちらこそ、わたくしどもの
「本来なら、きちんとした場を設けてお迎えしたいところでしたが、必要なしと仰せであれば無理強いもできません。して、本日のご用向きは?」
たった三人で身軽に乗り込んできた、聖会の巫女。
彼女について、ディアブラントは多くを知らない。
知っているのは、聖会が
そして――――「レアリウス」という組織が、かつてその
そもそも、巫女の名前すら明らかになっていないのだ。
彼の目の前にいる巫女――その聖会の頂点に立つ存在――は、ディアブラントの問いに簡潔に答えた。
「禁足地に現れた
「!」
今、この巫女は「ニホンジン」と言った。
彼らがニホンという
あの「訪問」の時、聖会の関係者は含まれていなかったはず。
「あなたは……巫女殿は彼らをご存知なのですか?」
「直接は、知りません。面識も
一体それは、どういう意味なのだろう。
彼女の話ぶりから判断するに、巫女はまるでニホンジンの世界についてその目で、その耳で見聞きしたことがあるような……。
ディアブラントは決意した。
「いいでしょう。それではまず――――――――」
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