第二章 第41話 令嬢
「なあなあ、
「何でしょう」
二人の間は、
いわゆる
そして――――
「後ろの人たちは何なわけ?」
「護衛です。お気になさらず」
「……護衛?」
迅の言うように、二人の後ろを別の女性二人組が歩いている。
その女性たちは、迅がO
それ以降、つかず離れずの距離を保ったままずっとついてきているのだった。
「護衛って、何から?」
「
そう言って、摩子はちらりと迅を横目で見た。
「いやいや、俺は何にもしないって」
「それなら何も心配されることはありませんから、なおさらお気になさらず」
「護衛ってことはもしかして――さっきナンパされてた時は、見てたのに何もしなかったってことなのか?」
「いえ。あの二人はそんな職務怠慢じみたことは致しませんわ」
摩子は首を軽く横に振ってから、軽いため息をついた。
「わたくしが、勝手に二人の眼が届かないところへ逃げただけです」
「……何かあれだな、お城のお姫様って感じがするぜ」
摩子は迅の言葉に、ただ小さく
そんな護衛付きの令嬢が、初対面の自分を自宅に
たとえ
現に最初は礼を述べてすぐに立ち去ろうとしていた。
「なあ、白鳥さん」
「何でしょう」
「俺が言うのもアレなんだろうけどさ、ほぼ初対面の男を自分の家に招くってちょっとマズいんじゃないのか?」
「あら」
小首を
「聞きたいことがあると言ったのは、あなたでしょう?」
「いやまあそうなんだけどさ」
正直なところ、あまりに自分に都合のいい展開過ぎて、迅は少し
調査対象と偶然出会い、危機を救って、家に招待される。
ご都合主義も
(だけど……
怪しい
「ま、まあ俺としてはありがたいことなんだから、文句はないさ」
「そうですか――こちらです」
石垣のような
しばらく進むとずっと続いていた塀がふいに途切れ、大きな門が姿を現した。
摩子は閉じている門に向かって、そのまま歩き続ける。
「お、おい、ぶつか――」
慌てて迅が声を掛けた瞬間、がらがらと言う音と共に
その横には「白鳥」「
(赤穂家や黒瀬家のとこもそうだったけど、ここも負けず劣らずの豪邸だな……)
思わず立ち止まる迅を、すでに門の中に入っている摩子が振り向いて呼ぶ。
「どうぞ、お入りになって」
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