第二章 第31話 三家
「あなたこそ、一体何者なんですか?」
「我ながら九条さんの『誰もが』という言葉に目が
「まあ、異質だなんて」
「私は一人の日本人の女性に過ぎませんわ」
「それもそうなのでしょうが、それだけではないはずです。答えていただきましょうか。あなたは何者で、魔法とは何なのかと言うことを」
詰め寄る宗久の眼を、麗は見返した。
その表情から、先ほどまでの少し
居住まいを正して、彼女は口を
「もとより、そのつもりですわ。ただ――――わたくしがこれからお話しすることは、我が一族
「いいんですか? そのような背信行為を」
「ええ」
麗は、既に覚悟を決めていると言う風に
その表情の中にほんの
「その理由はお話しする中でご理解いただければ幸いですわ。まずはわたくしたちのご先祖様についてですが……遥かな昔、彼らは
「遥かな昔、とは一体いつ頃のことなんでしょうか」
「正確なところは伝わっていません。ただ、他の記述などから類推するに、百年や二百年どころではなさそうです。そもそも当初は記録媒体が存在せず、
「記録媒体が……ない?」
要するに紙が存在しない、ということだろうか。
世界最古の紙は――確か中国で発見されたものと記憶しているが、確か紀元前の話なのではなかったか?
さらに
歴史にそれほど明るいわけではない宗久だが、そんな彼の一般常識に照らしても想像を遥かに超えた話の
「そ、それはまた何とも……。では、その出港した
「それについても明確な記述はありませんの。最初の頃は伝わっていたのが、途中で失われていったのかも知れません。ですが、それこそが『
要するにもっと昔だと言いたいのだろうか。
そしてそれは大陸にはない、と。
「わたくしたちに伝わっているもの全てについてお話しすることは、さすがに出来ません。それは量的にも質的にも。ここで触れられるのは、わたくしたち『
「三家……ぎいむ……?」
そこから、
――漂流することになった三家の祖先たちは、運よくどこかの島に漂着することが出来たらしい。
そして、それまで息をするように行使できていた
しかし、
使えなくなった理由は分からないが、ともかく彼らは残された
まず彼らが考えたのは、今となっては貴重な
彼らが選んだのは二人。
一人は真っ白で雪のような肌をした少女。
もう一人は、
彼らは彼らの持つ
そして、二人の血を
時代が
そして、継承していくための
黒家と白家、そして赤家の役割は
そして、その時が到来したら
「そのために、継承者は赤家の者と婚姻して子を
白鳥
「三家の秘密と
「うーむ……」
「既に聞いている話とは言え、改めてその遠大さに敬意を表したくなるね。そんなに遥かな昔から、白鳥さんたちはその尊い血を受け継ぎ、伝え続けているわけだ」
「……少し引っ掛かるところがあるのですが、伺ってもいいでしょうか」
じっと考え込んでいた宗久が、口を開いた。
「どうぞ、犬養さん」
「では遠慮なく。先ほど白鳥さんは『子が成人を迎えた段階で新しい継承者として三家の秘密と
「ええ」
「そしてその前にあなたは、全てを知るのはあなたの
「その通りですわ」
「それならどうして、あなたが魔法を使うことが出来るのか。その
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