第二章 第22話 ヒッチハイク
店の外には「営業終了」の
扉のガラスの色は、
四人の前には、お茶が出されている。
しかし、誰も口をつけようとはしていない。
まだ、何となく重たい沈黙がおりたままだった。
「あのう……ホントにすみませんでした」
このあまり居心地のよくない静けさの原因が自分にあると思っている和馬は、まずはそう言って頭を下げた。
大立ち回りと言うには、あまりに一方的な
この町中華「
――だが、
「黒瀬さん、本当にすまない」
と深々と
それに合わせるかのように、彼の妻、
状況がまるで理解できない。
和馬は
「え? ――あの、話を聞いてくれとは言われましたけど、皆さんオレのことを怒ってるんじゃないですか?」
「怒るなんて……とんでもないです」
莉緒が言った。
「本当は、あなたを巻き込みたくなかった。でも多分――さっきのことで……」
「うーん、まあ確かにオレ、やっちまいましたからねえ」
「……最初から、お話しますね」
そこから、莉緒が中心になって話が始まった――
☆
「――うーむ……」
和馬は腕を組み、思わず
何しろ思ってたより、相当に個人的な話だったのだ。
で、思ってたのよりも、
莉緒が話し始めたのは、まず自分の
本当に、
彼女
中学卒業までは
高校一年の夏、旅行先で一家が交通事故に
ただ一人生き残った彼女は、父親の
それが、現在の
そしてその家に、犬養
「かつての
特に悲しそうな
伯父
しかし、宗久の名を口にする時には、何とも言えない
「二歳年上だった
莉緒が
黙って
「そんな毎日に
そして彼女
大学卒業と同時に
山梨県の
バイト先の先輩に
「その時にわたしを
「ははあ……」
話自体は結構重たいのだが、あの八乙女先輩が、そんなドラマチックな出会いをねえ……と、ちょっと感心していた。
さらに彼女
結婚を意識するようになり、涼介の意志もあって
当然
「なるほど……」
犬養
何となく
「それで、何だか話を
はっとしたように真顔に戻る莉緒。
「……ちょっと遠回りし過ぎたみたいですね。背景なんかも理解していただきたくて――長くなってすみません……」
「いやいや、それは別にいいんですよ。さっきも言いましたけど、別に今日はこの
和馬は首を横に振って言う。
「それに、明日は土曜日ですしね」
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