第二章 第15話 巫女様
「先生、ありがとうございました」
「いや、まあ大したことがなくてよかったが、さっきも言ったように念のため、
「分かりました」
後部座席に乗っていた二人は共に疲れ果て
白銀
そして、白銀家で
――その
彼女は、二人との最初の出会いを思い出していたのだ。
あの時と同じように、
目を覚ました二人を見たら、きっと抱きついて話をしたくなってしまう。
今は、余計な負担を掛けたくなかった。
「さーて」
「今度は理世ちゃんの番ね」
「え? あたし?」
「そうよ。一応タオルで
「理世ちゃん、一緒に入ろうよ。私も濡れちゃったし、お風呂の使い方が分かんないかもしれないしさ?」
と、
「う、うん……」
「よ~し、それじゃあその
「うん、分かった。えーとね……080の――――――――」
「――OK。それじゃ瞳ちゃん、
「は~い」
◇
「――はい、はい。そうです。はい――それじゃお待ちしてま~す」
「お、そうそう。もう一ヶ所電話し
そう
スリーコールほどで、相手が出る。
「あ、真琴~? うちやけど――――あ~もう、
◇
玄関の呼び鈴が鳴った。
「はーい――はい、いらっしゃいませ。中へどうぞ」
瞳がインターフォンに向かって答えると、玄関の方からガラガラと引き戸が
「お邪魔します……」
「失礼いたします」
と言う声と一緒に、
それを出迎える
玄関に入るなり、天方さくらはまだ髪の
十秒ほどそのままの体勢を続けた
「い、いはい!」
「当たり前でしょ! まったくもう!」
「ご、ごえんあはい……」
「まったくもう……」
そう
ふううう――と、
◇
その頃、
「で、
「悪いんやけど、あの二人を回復するまで休ませ
「そりゃ構いませんが、何者なんです? あの二人は」
「う~ん、まだはっきりと分から
「ふーむ……」
伊織は腕を組んで
彼しかいないので、真夜は普通に京ことばだ。
「それで、
「そ
「いえいえ、当代様のお役に立てるのなら、大したことではありません。それに、巫女様にお目にかかれるのも久しぶりですしね」
「もちろん、パパたちも来
「そりゃそうでしょう」
くううぅぅ。
「……お
「そろそろお昼の時間ですから、当代様もご一緒にどうぞ」
「
真夜は思い出したように言った。
「ご飯出来るまで、二人の様子を見てくる」
◇
彼らは、
二人の表情は、あの雨に打たれていた時に比べて、ずいぶんと
見
彼らは二人を起こそうとはせず、ただただ見守っていた。
すると――
エルヴァリウスの
四人の想いに、
リウスはしばらく天井を見つめ、少し
そして、
「――――……りせ?」
その瞬間、
「リウス!」
「ぐふっ!」
突然の
理世はそんなことにお構いなく、布団の上からリウスの胸に顔を
彼が
「りく……さくら……――――う……」
すでに懐かしい顔を見て、リウスの顔がくしゃりと
眼の
そんな彼を見守る陸とさくらの眼にも、光るものがあった。
そして……何かが
それに気付いた理世が、先ほどエルヴァリウスにしたことをサンドラに繰り返したのは言うまでもなかった。
◇
その
食事を楽しみながら、
陸は警察で事情聴取を受け、
もちろん、白銀家に迷惑をかけてしまうことを
しかし、真夜に何か考えがあるらしく、それについては心配ないと言うことで、ベーヴェルス
陸とさくらは白銀家に深い感謝を示し、何か出来ることはないかと
「銀条会の教義に
と、言うだけだった。
それでも
さくらはそれを
ただ一人、また
しかし、天方家ではまた
銀月真夜は、そんな理世の嬉しそうな顔を複雑な表情で見ていた。
◇
そして、
――そして、その日の夕方。
「うー、緊張するー」
「落ち着きなよ、
さっきから玄関付近を、
「そんなの無理ですよー。だって私、
「別に怪物とかじゃないんだからさ~」
「当たり前ですよ」
先ほど真夜のスマホに、銀条会の
本人たちは先んじて新幹線で来たらしい。
車は
真夜が得たその情報を、瞳は父親を
なお、
――ピンポーン!
「はわっ!」
「お、来たかな~」
「な、何でそんなに落ち着いてるんですか? 真夜さんは。あ、もしかして不動産屋さんだから
「ん~?」
奥のインターフォンで応対する紫乃の声が聞こえてくる。
ちょっと考えてから、真夜は(ま、ええか)とさらりと続けた。
「だって、身内みたいなもんやし~」
「…………は?」
そこで玄関の引き戸がガララと
「こんにちは」
挨拶とともにまず、一人の男性が入って来る。
それに続いて、
「い、いい、いらっしゃいませ!」
瞳が
真夜が何か話しかけようとした時、二番目に入ってきた
「
◇
人の気配を感じて、身体を起こすアルカサンドラとエルヴァリウス。
その女性は、二人を見てにっこりと笑い、
そして客間が四人だけになると、再び笑顔を見せてこう言った。
「――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます