第二章 第08話 妄執
「おい、気を付けて行けよ」
「ああ」
「
「はっ」
機動隊レンジャー服に似た特殊装備に身を
――彼らは特別に編成された調査隊の第一陣である。
先日、消失事件の現場である今岡小に現れた、半径十五メートルほどの小さな
ある視察団の
落ちて行った警察官――
彼は全身を
なお、彼の救助活動は急ぎつつも、細心の注意を払って
突然現れた
しかも、当初の現場検証で
「それでは行ってくる。後は頼んだ」
「はっ」
最後に残った調査隊のリーダーと
――現場の警戒状況は、数日前とは明らかにレベルが違っていた。
穴の周囲は、側面はもとより
簡易テントには「今岡小調査本部」とでかでかと書かれた看板が設置され、対外的には校舎全体に対する調査の新たな
また、学校周辺の警備も大幅に増員され、敷地内にネズミ一匹立ち入れないほどの厳重な体制が敷かれている。
当然、その変化は近所の人々、そして現場を継続的に観測していた一部の
しかし当局は徹底した情報
◇
「おい……ここは一体、何だ?」
「何かの施設か? 廊下のようだが……」
穴を降りた調査隊の
こんなものが、公立小学校の地下にある
――天井付近に規則的に並んだ、ぼんやりと青く光る照明が辺りを照らしている。
光量が十分とは言えない、まるで海の底のように薄暗い中を、調査隊のヘッドライトが周囲の様子を丸く
「何でしょうね、このあかりは。照明にしては暗いようですが」
「こんなところに電気を通しているのか? 一体誰が……」
なお、先日ここに落ちた
隊員たちはゆっくりと歩きながら、周囲を確認し始める。
壁をこんこんと叩いた隊員が
「
「コンクリートじゃないのか?」
「いえ……堅いですけれど、もう少し軽い感じがしますね」
少し歩くと、すぐに通路は九十度右に折れている。
そのまま進むが、十メートルと行かないうちに土の壁が行く手を
「
「どうした」
「ここの壁に……扉らしきスリットのようなものが」
ヘッドライトで隊員の指し示す場所を照らすと、ドアの形を
ただし、取っ手らしきものは一切ついていない。
その代わり、黒いラインの横のちょうど手がくる高さのところに、小さなパネル状のものが
「
「
「そうだな……」
そう言うと須藤隊長と呼ばれた男は、腰のホルスターから特殊警棒のようなものを取り出すと、持ち手のレバーを
一瞬にして、それは半メートルほどに伸びる。
その
しばらく感触を確かめてから、次にケプラー手袋のまま触れてみる。
――反応は、なし。
意を決した須藤は手袋を外し、
「須藤隊長……」
「大丈夫だ」
それから軽く
……彼ら調査隊が、そのパネルが使用者の
「何か……カードのようなものが必要なのかも知れないな」
「破壊してみますか?」
「いや」
須藤は首を横に振った。
「まずは報告だ。他に何かないか、もう少し調べよう」
――それからしばらくの
◇
「むう……」
職場の自席で、
先ほど今岡小の調査隊から、取り敢えずの報告を電話で受けたところだ。
その内容は、可能性として想定していたうちの一つのものではあったが、それでも改めて驚かずにはいられないものだった。
(
県警本部の
しかし……その施設らしきものは、報告を聞く限りではかなり
しかも
(
横にタッチパネルのようなものがあったようだが、反応はないと聞く。
――今回
そして、より詳細で確実な情報を
(いずれにしても、一度私自身で直接確かめる必要があるだろう)
それに……犬養の
(それにしても、だ)
犬養宗久は、デスクに
(何だと言うのだ……あの場所は)
彼の
――
(
(……莉緒め、どこに姿を
(逃がさんぞ――――――莉緒)
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