第一章 第41話 白銀伊織
「こんにちはー!」
「……あれ?」
(ちょっと早すぎじゃない? いつもならまだ三十分はあるのに)
「はーい、今
とりあえず、
「こんにちは、瞳ちゃん」
「こ、こんにちは……」
瞳の目の前に現れたのは、あれこんなに暑っ苦しい感じだっけと瞳が混乱するほど
「いやー、そこで鏡さんとちょうど一緒になってさ」
聞いてもいないのに、ほっぺたを
「そ、そうだったんですね。お二人ともお疲れ様です……」
さっきまで二人のことをイジる気満々だった瞳だが、出会い
「こんにちはー、朝霧さん」
瞳の後ろから、
「お、紅緒ちゃん、久しぶりだね」
「そうですねー」
「……あ、やべ。荷物持ってくるの忘れた」
「え?」
「ごめん、ちょっと取ってくるよ」
「は、はあ……」
そう言いながら全然ヤバいと思っていない様子で、暁は車の方へスキップをしながら戻っていく。
後に残される女子三人。
「ねえちょっと、何? 朝霧さん、荷物忘れるとかどうしちゃったの?」
「まあ……ね。さっきの話の続きと言うか、ね」
ぼそぼそと耳元で話す紅緒に、苦笑いで答える瞳。
そして、困ったように笑顔を少し
「あ、あのね紅緒、こちらがこないだからボランティアで来てくださってる
「鏡と言います。よろしくお願いします」
「み、深谷です。こちらこそ、よろしく、です……」
志桜里と紅緒が、お互いにぺこぺこと頭を下げ合う。
「やあすいません、お待たせしました」
志桜里の後方から、暁が段ボールを
とりあえず気持ちを立て直した瞳は、にこやかに応じる。
「ありがとうございます。じゃ皆さん、中にどうぞ」
☆
こども
「ふーん……あれが最近、
「ええ」
「かわえ――
「ええ」
そんな中、いつもの席で食事を取る銀条会静岡東部支部支部長――
真夜の視線の先では、今日は隣同士で座っている暁と志桜里が、子どもたちに
――(株)銀河不動産の社員である彼女は、普段から
最近はフリーペーパーの取材がタイミング悪く立て込んで、なかなか来られないでいたのだった。
「これは経過観察が必要……と」
「それはどういう意味で?
「ちょっ!」
真夜は
声を
「ここではそう呼ばないよう言うてるでしょ!?」
「京ことば、出てますよ?」
「!」
しれっと言う伊織の言葉に口を押さえる真夜。
「別に隠されることもないと思うのですがね」
「いーの、うちは暁くんや
「京ことばくらいはいいんじゃないですか?」
「……ふう」
真夜は胸を両手で押さえて深呼吸した。
「うちのモットーは『
「そうでしたな」
「まあ、
「お疲れ様です。京都にいる会長も」
「
「さて……」
などという会話を
(あやしい……)
伊織の娘の、
(前から思ってたけど何か……あの二人、妙に距離が近いって言うか)
とは言え、彼女は別に二人がけしからん関係にあるのではと
……真夜の
(
大抵の人は、伊織に声を掛ける時には「白銀さん」「伊織さん」
真夜と同じ会社の
(おまけに、お父さんてば真夜さんに敬語を使ってるし――それより何より、「とうだいさま」ってのが気になるんだよね)
つまり、瞳は真夜が銀条会の関係者じゃないかと疑っているのである。
それも、
ただ……決定的な証拠がないし、仮に関係者なら何だと言う、それだけの話だ。
(それに……寄付してくれてる会社の社員の人にだったら、敬語くらい使ってもおかしくないしね)
もしかしたら何か事情があるのかも知れないところを、自分が
(
これらの
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