第一章 第38話 天方家旅行記3――制覇
F急ハ〇ランドに到着し、アトラクションを楽しむ
最初に回る空中ブランコ、次に円盤座席型バイキング系大型ブランコに乗る。
そして、いよいよ目玉のひとつであるF〇JIYAMAに
◇
「ちょっと……これどこまで上がるのよ……」
どんどん上がっていく高度に、ぼそりとさくらが
コースターは青空の一点に向かってぐんぐんと
残念ながら最前席は取れなかったものの、二列目から座ることが出来た
その二列目に
そして四列目には――関西方面から来たらしい女子大生グループの一人と一緒に
……彼はにやけていたりはしない。
席に座る時、前列のさくらに「あらあ、よかったわねえ」と先制攻撃を食らっていたからだ。
陸と女子大生は思わず顔を見合わせ、「何かすいません」と彼は申し訳なさそうに
車体は更に
「約八十メートルって……高層ビルで言うと二十階以上あるんじゃないの?」
「お母さーん、下すごいよ!」
前席に座る理世がはしゃいで言うように、素晴らしい
――ほぼ正面には富士山の
園内には、他のジェットコースター系のアトラクションが、
そして――ゆっくりと進んでいたコースタがが急に右にカーブしたと思った
降下――などという
周囲が悲鳴に包まれる。
さくらは横目でエルヴァリウスを見た。
彼は――――無表情だった。
リウスがどういう状態なのかさくらが
――どう? オレ、こんな感じなんだけど、だいじょぶ?――
と、
「ふぎぃぃぃっ!」
「きゃーーーーー!」
「ぐわああああ!」
いろんな種類の叫びが入り混じる中、三度目、四度目のアップダウンが続く。
五回目
☆
「いやあ……すごかったねえ」
「あたし、最初のとこで落っこちちゃうかと思った!」
髪をぼさぼさにしながら、
物理的に地に足が着かないという感覚を、さくらは初めて経験している。
ベーヴェルス
「それじゃあ、次は何に行く? ド・〇ドンパ? 高〇車? え〇じゃないか?」
「ちょ、ちょっと待って!」
このままなし崩し的に連れていかれてはたまらないと、さくらは
「す、少し回復する時間をちょうだい。あ、そうだ。先にお昼ご飯を食べちゃいましょうよ。混む前に」
「えー」
あからさまに不満を表明する理世。
彼女の中では、いわゆる「四大コースター」
「だってほら、サンドラたちもこんな状態じゃないの。乗るのはいいけど連続は無理。勘弁して。お願い」
「えー」
「まあ、お母さんも乗るのはいいって言ってるからさ、明日の午前中もあるんだし
「うーん……そうだね、分かった」
陸の説得に、案外すんなりと同意する理世。
実際、コースター系以外にも楽しそうなアトラクションはたくさんあるのだ。
――結局この後、さくらの言う通りに早目の昼食をとってからは、屋内外のさまざまな乗り物を
☆
「ふう……やっと落ち着いたわね」
そして今、
――ここはF急ハイラン〇に
さくらたちが
ベッドルームには寝具が四つ
ハイシーズンということもあってお値段もなかなかなのだが、まずこの旅行はゴールデンウィーク以前から計画してあったものである。
――今年度六年生に進級した息子――
陸が「何かご
そして、どうせ行くならいっそのこと泊まる場所も張り込んでやろうと、このラグジュアリーな部屋を予約したというわけだ。
「そろそろ夕飯食べに行かないかー?」
「行くー!」
部屋に入って荷物を片付けてから、ベッドに寝
☆
「わー、素敵ねー」
「きれいー!」
レストランに到着した
遊園地は閉園した後も、こうして宿泊客たちが
「さ、ディナーブッフェだから、早速取りに行こう」
と、陸に言われて、席に座ったままきょとんとして顔を見合わせているアルカサンドラとエルヴァリウス。
せっかく座ったのに、また立てとは一体どういうことだと言わんばかりの、二人の首の
「あのね、ここでは自分が好きなものを好きなように選んで食べていいのよ」
「あたしが教えてあげる。行こ? サンドラ、リウス」
「とりあえず一緒に行こう」
――それから、さくらたちの見よう見まねをすることで、ようやく
好きなものを好きなだけ、というシステムが信じられないようで、サンドラは何度も「だいじょうぶ? だいじょうぶ?」とさくらに確かめていた。
フロアの
「何これ! ねえお母さん、これ何?」
「それはチョコレートファウンテンって言って、ほら、そこにあるマシュマロとかバナナに、上から流れてくるチョコをつけて食べるやつよ」
「やりたい!」
「後にしたら? デザートなんだから」
「むぅ……」
陸はエルヴァリウスを誘って、ライブキッチンの前に来ている。
「リウス、こっちでステーキを焼いてもらおう」
「すてーき……」
「そうさ。ほら、目の前で料理してくれるんだよ」
「おう……」
アルカサンドラは
彼女は一度、天方家で宅配ピザを食べたことがあるのだが、それ以来この料理の
「サンドラ、一人でどんどん出来て……すごいね」
「ホントねえ」
――こうして、好きな食べ物をたらふく胃袋に詰め込みながら、彼らの一泊旅行の夜は
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