第一章 第23話 三家会議 その2
◇
さらに赤穂家の分家である
ただし、今回の臨時会議は三家だけが対象である。
二室の一つである
もう一つの二室――
――さて、八月某日。
臨時
なお、黒瀬白帆は白人の
護衛たちは、
「おう、相変わらずバカでけえモニターだな」
「いつもながら、見やすくて助かるわ」
「あぁ? 親父の老眼だと、
画面は四分割されており、三家それぞれを正面から
――ただし、音声にはミュートがかかっている。
「ま、何の話をしているかは、大体想像がつきますがね」
「
「いえ、報告は受けてますが、実際には」
ちなみに、白家の三家――
黒瀬家に呼びつけられる
とにかく車酔いが
本気が冗談か分からない勢いで「箱根山に
「始まるようですよ」
◇
「早速ですが、本日臨時にお集まりいただいたのには、二つの理由があります」
主催者である黒瀬
円卓についているのは彼と、彼の母である
白鳥
そして
「まず一つ目は、三週間ほど前にここN市で起きた小学校消失事件について、現状の確認と情報交換です」
三家会議には、基本的に当主と前当主が出席することになっている。
赤穂家が現当主だけなのは、前当主は
また、特別な理由がない限り、当主交代が可能なのは義務教育終了後と決められている。
つまり……中三で
なお、前当主は普通は
「二つ目は、我々三家の今後の方針についてです。
円卓のメンバーは今のところ、
ご先祖の誰かがアーサー王伝説にかぶれたか何かで、
「それではまず私から、今回の事件についてのあらましと、これまでに得た情報をお話ししましょう。お手元に資料を配ってあります」
白人によって、大画面モニターを使いながらの説明が行われた。
大まかには説明会で発表された
「それで……最初に確認しておきたいのは、行方不明になった二十三人のうち何人かが、我々に
「一応、私も把握はしているが、念のために名前を確認させてもらっていいかね?」
「ええ、玄一さん」
白人はモニターの画面を切り替えた。
「近いところからいきますが、まずは私の
「まさか君の
「お気
「母親の方が、うちに割と近い『
白鳥
「と言っても、わたくしの
「なるほど。ちなみにですが、父親の方はどうやら
摩子の情報を、白人が補足した。
「そうなると、娘さんは多少
「可能性はありますね。まあ私たちも根付いて随分
「話を進めてくださるかしら」
「おっと、すみません」
脱線しそうな話を引き戻す摩子。
決して無関係な話ではないのだが、摩子の白人への当たりが
「あとは……ああそうだ、この人。
「七世代……フランス革命の頃ですわね」
「そう言われると、近いのか遠いのかよく分からなくなるねえ」
「充分遠いと思いますわよ、玄一さん」
少しばかり遠い目になった摩子が、そう言って
「実際、手作業で枝を管理していくのは、二、三世代遡るだけでも大変です」
「当主の仕事とは言えね。よく分かるよ」
「白人さんのところみたいに、デジタル化を進めたいとは思うのですが……」
「必要ならお手伝いしますよ、摩子さん」
白人がにっこりと応じる。
それに対して、母親の白鳥
「なりませんよ摩子。電気がなければ使えないものなど、話になりません」
「……お母様がこれですから」
「いやまあ、麗さんの
彼も
デジタル化するメリットもリスクも。
「話が少し
「
「分かりました。玄一さんのところの分家の
神代家は、現在黒瀬家の敷地内にあり、屋敷を含む敷地全般の警護を担当している家である。
現当主は、朝陽の父親である
「表面上は
「そりゃまあ、彼は
しばし、場に沈黙が落ちる。
どこからか
「それではわたくしからも一人」
静寂を破ったのは摩子だった。
「たまたま現場に遊びに来ていたと言う高校生のうち、
「
「ええ、母親の方は九世代、父親の方が七世代ほど前に分かれています」
「なるほど、ありがとうございます」
白人が画面の表を確かめながら言った。
「三家の枝
「もっとよく調べればいるかも知れないが、十世代以上遡る必要はないんじゃないか?」
「わたくしもそう思います」
「では、事件そのものについて、私が説明したこと以外に情報をお持ちの方は?」
玄一も摩子も、静かに首を横に振る。
「分かりました。前提情報としてはこれで出尽くしたようですので、ここからは議論の本番になりますね」
会議は続く。
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