第七章 第19話 裁決
――グレゴリオ暦20XX年 四月十一日 水曜日
――八乙女、療養九日目・帰校
―8―
◇
そんな中で八乙女の弁明が認められるが、その
◇
「俺の言いたいことは三つだけだ」
二、三度深呼吸をしてから、八乙女は口を開いた。
「まず一つ目。俺は校長先生を殺してなんかいないし、口論なんて一度もしていない」
「この……」
怒りに燃える目だった。
「二つ目。俺はオズワルコスさんと秘密の
「それが本当かどうか、僕たちには分からないじゃないか」
「そう、それだよ
「……」
「そして三つ目だ。これも信じてもらうしかないが、魔法を使って
「それだけかね」
八乙女は鏡の顔を見据えて言った。
「そうだ。俺は
「純一さん、もう一度猿ぐつわを」
「分かりました」
再び八乙女の口にはタオルが
「ちょっと! どうして話してる途中で
「それだけかと聞いて、そうだと答えた。何か問題があるかね」
「う……」
鏡は
「さあ、これで両者の言い分が
「はい」
「私は、この男を殺すべきだと思います。出来れば、朝霧校長が
殺意を隠す気もない壬生の発言に、一同が再び凍り付く。
「他にどうですかな。意見がないようなら壬生さんの提案になりますが」
「まさか本気で、人を殺す決定をするつもりですか? この場で? そんなことが許されると思っているのですか?」
「許すも許さないも」
鏡が肩を
「橘さん、ここには残念ながら警察も
「しかし!」
「疑わしきは
「
黒瀬が食い下がる。
「分からん人ですな。誰が冤罪かどうかを証明するんだね」
「かと言って、殺すなんて」
「まだ殺すと決まったわけじゃない。それなら黒瀬さん。もう一度聞くが、このまま何もせず、朝霧さんを
「それは……」
「だから、何らかの形で決着をつけなければならんのだ。違うかね!」
「……」
鏡の
「さあ、他に意見はありませんか? なければ死刑と言うことで」
「待ってください!」
橘が手を挙げた。
「鏡さんが
奥歯を
「追放……ね。中途
しばらく時間をとっても、他の意見は出てこない。
「では
――そして一分後、
八乙女は、
誰が、どんな意思を表明したのか、
――その結果。
「死刑」に挙手した者。
・鏡龍之介
・久我純一
・久我英美里
・壬生魁人
・秋月真帆
――計五名
「追放」に挙手した者。
・花園沙織
・橘響子
・不破美咲
・如月朱莉
・椎奈葵
・加藤七瀬
・諏訪樹
・上野原玲
・御門芽衣
・神代朝陽
――計十一名
棄権した者。
・黒瀬真白
・早見澪羽
・天方聖斗
・久我瑠奈
――計四名
◇
結果、八乙女涼介は明朝、学校を追放されることが決定した。
以後、東の森より西側――いわゆる禁足地――に足を踏み入れることが禁止された。
荷物として最低限の身の回りのものと、数日分の食料の
追放までの間、八乙女は
その際、彼は暴れたりすることもなく、
その
職員室の入り口には万が一の事態に備え、夜通し見張りが立てられることになった。
保健室の朝霧の
誰もが、素直に眠りに入るような精神状態ではなかったのだ。
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