第七章 第06話 加藤七瀬の事情
――グレゴリオ暦20XX年 四月五日 木曜日
――八乙女、療養三日目
―2―
◇
ふと、目が覚めてしまった。
目をくしくしと
何だ……まだ日付も変わってないじゃない。
変な時間に昼寝しちゃったからかな。
休みの日は、つい生活のリズムが
と言っても、最近は平日だって本業の方の出番は――あんまりない。
一ヶ月前くらいに班の
確かに今のところ、炭じゃなきゃダメってことはない。
お風呂だって普通に
それよりも、新しく出来た「
あっちは四人とも全員男の人で、何か
小川に水車を作って簡単な
おまけにザハドの人たちの協力も得て取り組むらしいから、どう考えてもあっちの方が優先度が高いよね。
まあ今ある施設の管理維持だって大事な仕事だから、私は別に不満なんてない。
楽がしたい、って
これまでだって道を作ったり水路を
もし私が
でも、水路が
何か一緒に頑張ってた
気持ち的にも
まあそれはそれとして――トイレ行きたい。
ぽっとん系にもずいぶんと慣れた。
大体、トイレのメンテナンスは私たちカイジ班が
ただ……真っ暗な中を一人で行くのだけは、
ランタンがあるじゃんって言われるかも知れないけど、なまじ光があると余計に怖い気がするんだよね……。
だから暗くなってから行きたくなった時には「誰かトイレ行きませんかー」って言って
いつもなら
しょーがない。
覚悟を決めよう。
まず
こういう時、無段階
……ここだけの話、私は実は
分かってると思うけど、家の中での話ね。
実家にいる時にはまあ近い状態ではあったけど、お母さんとかがうるさいから一応下着は着てた。
でも
ホントに気持ちいいんだよ? マジで。
あの解放感は、もう何物にも
ちょー気持ちいから。
素肌にシーツって、最高!
でもある日、いつものように全裸で過ごしてたんだけど、その時に使ってた机の
で、私はそれに気づかず、むき出しのお尻を引っ掛けてしまった。
ピーっと。
それで、下着の防御力も馬鹿に出来ないって気付いたのだ。
それ以来、まあ寝る時以外は下着だけは
そういうわけで、今も私はかなりの
と言ってもさすがにこの
ごそごそと上下ジャージを着用してから、静かにプライベートエリアを出る。
誰か起きてくんないかなーという
しん、と静まり返っている。
私は足音をなるべく立てないようにしながら、教室を出た。
ちなみにドアは、あれこれ議論の末、開けたままにするようになってる。
廊下に出た。
――もう怖い。
大体、夜の学校とか病院とか、鉄板よね?
何のとは言わないけどさ。
昔はお化け(言っちゃった!)なんていないいないって思ってたのに、こっちの世界に来たり魔法を見たりしちゃった今では……ね。
ランタンをかざしながら、階段をゆっくりと
万が一にでも
全校朝礼かなんかで子どもを
受け身が
一階に着いた。
トイレは校舎の北の方にあるから、校庭に面した
キィ。
(!)
なに!?
何!?
遠くで玄関の
光がちらちらしてるのが見える。
……まあ、私と同じよね。
トイレの人。
こういうシチュエーションは別に初めてじゃないので――ちょっとは驚いたけど――気を取り直して玄関に向かう。
すると――前方に人影が……二つ。
向こうも私に気が付いたみたいで、より照らそうとランタンを
それは、
「こ、こんばんは……」
「ああ、加藤さん。トイレかね」
「鏡先生、女性なんですから。ストレート過ぎですよ」
「おお、これは済まんね」
「い、いえ……」
「いつものことだけど、暗いから気を付けてね」
「は、はい、ありがとうございます。おやすみなさい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
私は靴を
涼しい風が吹いている。
――連れション……?
私みたいにお化けが怖いとか――いやいや、それはない。
たまたまばったり会ったかなんかで、一緒に戻ってきたとかなのかな。
まあどうでもいいけどね。
それにしても――何か妙に仲がいい感じだったな。
そんなイメージは特になかったような気がするけど……ま、それもいいか。
仲がいいならそれに越したことないんだしね。
それよりも、早く行って早く済ましちゃお。
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