第六章 第35話 星祭り 最終日 ―6―
最終日の
それぞれが、それぞれの
◇
そういうわけで、あたし――
来る途中もそうだけど、町のあっちこっちに屋台が出てるし、大道芸人の人たちがいろんなパフォーマンスをしてる。
大道芸はいいね。
言葉が分かんなくても、普通に楽しめる。
ジャグリングみたいなのとか、パントマイムみたいなのとか。
よく出来た
リィナと
いつものシーラに、おっとりした女の子がもう一人……ルーチェ。
ディルとフェルっていう、なんか生意気な感じの男の子二人。
リィナも含めて、みんな変な
昔のギリシャ――ローマ、だっけ?
身体にシーツを巻いてるみたいな服。
いつもだったらあたしたちも結構目立ちがちな服装だけど、今日はそうでもないかも。
あたしは制服だし――
――あたしが聖斗と
こいつはあたしのこと「御門さん」とか
そもそも、話す機会がない。
いや、いいんだけどね。
別にもう、どーでもいい。
お好きにどーぞって思ってる。
「めい、たべる? マトラ」
リィナが話しかけてきた。
マトラって何だっけ。
……ああ、屋台のことかな。
「
「
正直お腹ぺこぺこだけど、せっかくここまで頑張ったんだから、
シーラやルーチェもうんうん言ってる。
聖斗はちょっと離れたとこで、ディルたちと何やら熱心に話してる。
あいつは
で、その分のつもりなのか、ここの言葉の勉強を異常に頑張ってる。
きっと上達するいい機会だと思ってんのかも。
しきりに「
要するに、聖斗とのことは吹っ切れつつあるってこと。
こうなったそもそもの原因が
それでも……何だかこのお祭りを、心の底から楽しめてない自分がいる。
山吹せんせーも、楽しそうに見て回ってるように見えるけど、どうだろうね。
まああたしの場合、聖斗とのことも無関係じゃないけど、それよりも――
「めい」
「ん? 何?」
「あさひ、と、みはーね、と、るぅな。いる、ない?」
「!」
……この子はもう。
何てタイミングでぶっこんでくんのよ……。
「あ、えーとね、その、
「ああ、
「瑠奈はね、えーと、学校。
「ヤァ。みはーね、どこ?」
「み、
「?」
「えっと、あのね、み、澪羽は……」
リィナがあたしの眼をじっと
「……タナジャーグ?」
「ジャ、ジャーグ? ジャーグって何?」
「ジャーグは」
そう言って、リィナはあたしをぽかぽか
もしかしてケンカのことかな。
「ジャーグ、これ。めい、ジャーグ、する、した? みはーね」
「うん……」
あたしはすっと、正直に答えた。
「
「ジャーグ、
納得したようにリィナは
「めい」
「な、何?」
「なぜ、あなたたち、けんか、する、か?」
「ええ?」
あたし、もしかして怒られてんの?
五つも年下の子に。
「めい、けんか、せーと、した、したね?」
「!」
「りょーすけも、けんか、した。はずみ」
「……」
「なぜ、けんか、みんな、する?」
リィナが悲しそうに目を
てか、八乙女せんせーと山吹せんせーのこととか、あたしと聖斗とのことまで気付いてんのに、ちょっと驚いた。
最近はこの子ともよく話すようになったし、リィナの気持ちも分からなくもないから、ちょっとだけ胸が痛い感じになったけど……。
でも――あたしにだって事情がある。
それに今はそれを
あと言語能力も。
「いろいろあるのよ。いろいろ」
せいぜいこう返すのが精一杯だった。
あたしの言ったことが分かったのかどうか。
リィナはそれ以上追求してこようとはしなかった。
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