第六章 第34話 星祭り 最終日 ―5―
星祭り最終日の準備として、俺たちはリィナの指示のもと、まずは小麦粉でこねこねと団子と作った。
出来た団子で特製の
さて、次は――
◇
タスクその
この頃から広場や町のあちこちに屋台が出始め、
仮装行列は、星祭りにちなむ神様たちや、古代の王、英雄とされている人たちに
まあ俺たちは流石に仮装の準備まではしてないので、見て楽しむ側に回るわけだが……どうしたものか。
まず、俺たち
俺を含む大人三人についてはまあ一時的なものだと思うけど、
ただ、リィナの友達がここに集まってくれるらしいから、上手いことそっちに混ざりこんでくれれば多少は安心なんだよな。
……仕方ない、切り出すか。
「えーっと、一応この
「へー、綺麗そうだね」
芽衣が感心したように言う。
「さっき飾った時点で、うっすらと光ってるらしいよ。
「ほほー、ちょっと見てみますかね」
と、純一さん。
現段階だと、白い小麦団子はあちこちで目立ってるけど、光っているかどうかはちょっと分からない。
「で、更に午後六時頃には、光ったまま空に浮上していきます。それと同時に
「炎の行進って、何ですか?」
珍しく天方君が質問してきた。
「リィナの説明によると、
「分かりました」
俺は説明を続ける。
「行進は、一時間ほどで元の場所に戻ってくるようなルートだそうです。で、午後七時半になると鐘が二十一回鳴らされます。鐘が鳴っている間は、誰もが
「あたしたちもやるの?」
「まあ強制されることはないかも知れないけど、その
「ふーん。でも神様に祈るって、何を?」
(リィナ)
(わ! びっくりした……なに?)
(鐘が二十一回鳴ってる時って、神様に何を祈るの?)
(え……ああ、たしか、いちばんえらいかみさまが、またきてくださいますように、だったとおもう)
(一番偉い神様? だれ?)
(なまえはわかんないけど……)
(ミラド様じゃないの?)
(ちがうとおもう)
(そうなんだ、分かった。ありがとう)
「今リィナに確かめたら、何か一番偉い神様にもう一回お出ましください、ってお願いする感じらしい」
「何それ」
「俺にもよく分からない。でも、こう言っちゃあれだけど、祈りの内容は何でもいいんじゃないかな」
いいよな?
「で、その鐘が鳴り終わった瞬間から、フリータイムの始まりです」
「フリータイム?」
純一さんが聞き
「何がフリーに?」
「えっとですね、屋台と飲食店で出される飲食物全てが
「マジで?」
「はえー」
なかなかに
ザハドの町民が何人いるか知らないけど、百人や二百人じゃないだろうに。
「最後に午後九時頃。ここでも何かあるみたいですけど、リィナは教えてくれませんでした。見てのお楽しみだそうです」
「ほう」
「その
「オールってこと?」
「まあ、そうだね」
ザハドで星祭りでオールとか、芽衣の発想が何か
そしてここまで山吹先生が一言もしゃべってない。
怖い。
「明日は町中がお休み状態になるそうです。俺たちが学校に帰るのは午後の予定ですから、それまでどう過ごすかは各自に
「分かりました」
「別に窮屈じゃないよ。当たり前だよ」
この辺の感覚がちゃんとしてるのは、二人とも偉い。
リィナたちも、
「ってことで、この
「悪いけど、僕は一人で楽しませてもらいます」
と、純一さん。
「あたしはリィナたちと一緒に遊ぶよ」
これは芽衣。
「僕も……リィナたちと行きます」
天方君の言葉に芽衣の
が、特に何も言わず。
俺たち大人三人の誰かにくっついてられるより、子ども同士の方がいいんだろう。
「私は――」
山吹先生はほんの一瞬だけ俺を見て、
「――私は子どもたちに付いていきます。保護者として」
芽衣が「いいの?」とでも言いたげな顔で俺を見る。
天方君の表情に特に変化はない。
まあ……山吹先生ならこう言うだろうとは思ってた。
例え、今みたいに空気が悪くなっていなくても。
「分かりました。何かあったら
全員が
「では、解散!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます