第六章 第36話 星祭り 最終日 ―7―
星祭りの最終日を、代官屋敷宿泊組も大いに
そんな中での、
◇
ふう。
ちょっとは疲れが取れたみたい。
ここは代官屋敷。
私に割り当てられた部屋の中。
時刻は……午後五時くらいかな。
窓の外は青からオレンジの
マジックアワーってやつ?
日の入りはもうちょっと先みたいけど、空の
地上のあちこちに光の玉が波みたいに見える。
すごい。
昨日までめちゃくちゃ
まずは、小麦でお
それから、町中が仮装行列で
この星祭りがどんなものなのか
私は、最近の日本のハロウィーンみたいにド派手なコスプレも嫌いじゃないけど、こういう宗教色を
何と言うか……
屋台もあっちこっちで出てたので、結構つまんだ。
ありがたいことに、お
私たちは宿泊している
夜になったら領主様の
昨日の演劇の時は別として、とにかくずっと
大道芸もよかった。
見たことあるようなのも、初めて見たようなのも、どこも黒山の人だかりだった。
正直、ここが地球じゃないなんて、今でも信じられない。
どっかの外国の街に、お祭りシーズンを
でも八乙女先生や瓜生先生なんかは、ここが地球なのかそうじゃないのか分からないって言ってる。
――そうしてお祭り気分を
私も部屋に戻るや
午後六時頃から本格的な夜の部が始まるらしいから、そろそろ行こうかな。
他のみんなは、どうしてるんだろ。
私は
「あ、加藤せんせー」
あれ、
何してんの?
ドアの反対側の壁にもたれて立ってるけど。
「どうしたの? 諏訪さん」
「いや、まあ」
「え、何? みんなは?」
「もうとっくに出掛けたっすよ」
「え! うそ!」
私、置いてかれちゃったの?
ひどくない?
「そんな、起こしてくれればよかったのに……」
「何回もノックしたけど起きないって、
「え……」
「しょーがないから、僕が伝言役に残ったっす」
「ええ!?」
「『一応広場の辺りにいると思うけど、
そう言って諏訪さんは歩き去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待って!」
「はい?」
首だけ振り返って立ち止まる、諏訪さん。
え? どーいうこと?
いやいや、どういうこと? じゃないない。
諏訪さん、私が起きるの、待っててくれたってこと?
いやいや、そう言ってるじゃん。
もしかして、ずっとドアの前で?
いつ起きるかも分かんないのに?
だって、言ってたじゃん。
この団子が光って空に浮くとか、アガるっすねーって。
そんな……いやいやでもでも。
そう言えばお団子が浮かび上がるのって、まだだよね。
まだ間に合う!
「あ、あのっ!」
「はい」
きょとんとしてる。
「あ、あの、私、舌
「……はあ?」
「こ、こここここって、シャワーみたいなのがあるでしょ?」
「? まあ、あるっすね」
「あれ
「シャワー中に舌嚙むって、どういうことすか?」
「あるんですよー、浴びながら顔を
「はあ……」
「何なら、
「入るって、どこにすか?」
「鼻の穴とか」
「……」
「……」
「……」
「ほ、ホントなんですよ! それで
「いや、別に
そして、とうとう諏訪さんは吹き出した。
「わはは、相変わらずの
「何よ、訳わかんないって。失礼でしょ?」
「まあ
「な、何?」
「時間もあれですし、外、見に行きません?」
「え?」
「いや、何かこれからクライマックスみたいじゃないすか。加藤せんせー起きてくれたんで間に合いそうっすから、一緒にどーです?」
「一緒にって……え、ええっ!?」
「
「べ、別に嫌じゃないけど……」
「よし、それじゃあ行きましょう。
「あ」
よく考えたら私、さっき起きてそのまんま……!
「ちょ、ちょーっと待ってて。五分! 五分で終わらせるから!」
「
そう言って諏訪さんは、腕を組むとまた壁にもたれかかった。
「なるはやで頼むっすよー」
「う、うん、分かった」
と言ったところで、私は大事なことを忘れてたことに気付いた。
「諏訪さん!」
「はい?」
「そ、その……あ、ありがと」
諏訪さんは
「どーいたしましてっす」
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