第六章 第21話 星祭り 第二日目 ―1―
――戦いの結末は、意外に早く
――割れて
――主神ギードスは
――
――暗黒の世界に墜ちたアルディスは、その
――
――そしてその傷を
◇
「あれ……?」
町がだんだん近づいてくる。
星祭りって聞いてたから、キラキラした
「ねえねえ、何か様子が変じゃない?」
私――
「んー、何かお祭りって割に静か、かな?」
「僕は初めてだからよく分からないけど、何となく人通りが少ないように見えるね」
私たちの乗る馬車は一号車。
二号車に
三号車に
「ねー、山吹せんせー」
「ん? 何?」
「せんせーはどっちに泊まるの?」
今回の訪問では、宿泊先が
それも無理ないなあと思う。
だから、私みたいに一回以上来ている人たちは、なるべく山風亭を選んだ。
御門さんも天方君もそう。
特に外交班のメンバーは、会話的に多少のアドバンテージがあるから。
「私もリィナちゃんのとこだよ。御門さんたちと一緒だね」
「そっか。じゃあ、一、二……五人か」
と言っても、御門さんが取り乱していたのはあの、図書コーナーでの出来事の時だけ。
きっと胸の内にはいろんな思いがあるんだろうけど、毎日の仕事で彼女がそれを表に出すことは今のところない。
私の見ている限りでは、三人の間に会話は全くないと思う。
それでも一生懸命仕事に打ち込む姿が、あまりに
――代官屋敷が近付いてきた。
門のところで、
瓜生さんが「おお……」と、
多分感動しているんだろう。
私もそうだった。
何と言うか、西洋が舞台のお
「あれ、確かレオさんって人だよ」
御門さんが得意げに言う。
「へー、話したことあるの?」
「うん。あとね、えーと……リオンだかリアンだかって人もいた」
「そうなんだ」
コミュニケーション能力が高い御門さんらしいと思った。
――黒瀬さんには
人見知りとまではいかなくても、必要以上の情報を他人に与えるのがとても怖い。
多分そのせいで、昨年度は同じ学年部だった八乙女さんに、一歩引いた態度を取られていたのを私は自覚してる。
だから、御門さんみたいに相手の
――馬車が止まる。
代官屋敷に泊まる瓜生さんが、「じゃお先に」と一人で下りていった。
窓越しに、玄関で迎える女性が見えた。
確か……ヴィルテクラーラさんだったかな。
「いらっしゃいませ、みなさま」
(えっ!?)
今、確かに「いらっしゃいませ」って。
ヴィルテクラーラさんが
「御門さん、聞いた?」
「? 何が?」
「あの女性が、日本語で『いらっしゃいませ』って言ったのよ」
「あたし、気付かなかったけど……八乙女せんせー
「そうなのかな……」
まあ有り得ない話でもないか。
八乙女さんなら昨日会ってるだろうし、あの人は最近、エレディール語がめきめき上手くなってるし。
……やっぱり「
私は
ガチャリ、と馬車の扉が
向かい合わせに座っている御門さんの表情がさっと
見ると――天方君がゆっくりと乗り込んできたのだ。
天方君は無表情で私と御門さんを交互に見る。
どちらの横に座るべきか――とでも考えたのだろうか、一瞬迷うような
「天方君もこっちなのね」
「はい……」
天方君は正面を見たまま
御門さんは窓の外に目を向けている。
ちょっとびっくりしたけど、言われてみれば
当たり前なんだけど……どうしよう、この空気。
あんまり私が気にし過ぎると、余計に気を
天方君の向こう側の窓の外で、花園先生たちが手を振っている。
御者さんが何か言うと、ガタリと揺れて馬車が動き出した。
私は外のみんなに手を振り返す。
天方君は、頭を軽く下げた。
御門さんは、反対側の窓を
――結局、
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