第六章 第04話 新編成

 鏡先生の提案で開かれた全体会議。

 話し合いを進める中で、現状での問題点や改善点が示されていった。


    ☆


 その後、一時間ほどの話し合いの結果、新しい体制はこんな感じに決まった。


施設管理維持しせつかんりいじ班 計三名

  たちばな教頭

  加藤かとう先生

  諏訪すわさん


食料物資しょくりょうぶっし班 計六名

  花園はなぞの先生

  不破ふわ先生

  如月きさらぎ先生

  椎奈しいな先生

  久我くが英美里えみりさん

  秋月あきづき先生


保健衛生ほけんえいせい班 計二名

  黒瀬くろせ先生

  澪羽みはね


外交がいこう班|(新設) 計八名

  俺

  久我純一じゅんいちさん

  山吹やまぶき先生

  上野原うえのはらさん

  芽衣めい

  天方あまかた

  神代かみしろ

  瑠奈るな


開拓かいたく班|(新設) 計四名

  朝霧あさぎり校長

  かがみ先生

  瓜生うりゅう先生

  壬生みぶ先生


 最初に名前が来てる人が、班長。


 さらっと教頭先生は書いてるけど、もしかして年齢順か?

 怖くて確かめられない。


 カイジ班は減員げんいん、食料物資班は増員ぞういん

 これは話し合いの結果そのまま。

 保健衛生班も特に変更する要素がないので現状維持。


 外交班は、想定していたより多くなってしまったが、これは直接のやり取りや互いの言語習得以外に、辞典じてん作りと文化事典じてん作りが新たな仕事とされたからだ。


 辞典は言わずもがな、日エ辞典とエ日辞典。

 文化事典ってのは、字義じぎの通りエレディールの文化について分かったことをこうを立ててしるしていくもの。


 それに加えて、日本の文化を大まかに紹介するための、つまりエレディールの人たちに見せるための事典も作ることにした。


 幸いなことに、純一さんは出版社勤めの人で、辞書出版部門にいたこともあるそうだから、非常に心強い。


 ただ――辞典作りの話が出る前から、妙に外交班に入りたがっていたのがちょっと気になるが。


 そして、当然のことながらエレディールの文字も覚えなきゃならない。


 今のところ、平仮名ひらがなと対応させられるようだから表音ひょうおん文字らしいのは分かってる。


 でも、表語ひょうご文字がないとも限らないわけで、漢字みたいなのがあったらどうしようと戦々恐々としてるのだ。


 そして開拓班はと言うと、当面は「住める家」を作ることが主目的の班だ。

 カイジ班として作る予定のものは、炭窯すみがまを残すのみだったけど――


「こちらが向こうに食い込むつもりなら、向こうからも何らかの形で受け入れなければならん可能性がある」


 ――って鏡先生が言い出して、まあ要するに先日の学校訪問みたいなのが金輪際こんりんざいないとも言い切れないし、パーティション生活にすっかり慣れた俺たちも、個室で暮らせる生活が出来ればそれにしたことはないってことで出来た班だ。


 その性質から、カイジ班や外交班とコラボすることが多いだろうと見込まれてる。


 家づくりに三人と言うのはちょっと少ないんじゃないかと言ったら、湯殿を作った時に手応てごたえを感じたってのと、水車小屋みたいにザハドの人たちに協力をあおぐ可能性も考えているんだそうだ。


 ともかく、こんな感じで今日から新体制であれこれ進めていくことになった。

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