第六章 星祭り
第六章 第01話 勉強の家
「りょーすき!
リィナが俺を呼ぶ。
「はいはい。でもリィナ」
「えー、なに?」
「今、『のいん』って言ったね?」
「あ! う、わたし、いう、いった」
がっくりと
彼女の頭をよしよしと
……ん?
そう言えば「よしよし」って、エレディール共通語で何て言うんだろうか。
「シーラ」
「な、なに?」
「頭を撫でる時、シーラは何て言う?」
俺は
「ちょ、ちょっとせんせー!」
驚いた
シーラはちょっと考えてから、
「ナーナーナー、いう。わたしたち、こうする、とき」
「どうして『ナーナーナー』なの?」
「わたしたち、えーと、いう、かわいい、なーでぃあ。ナーナーナー、なーでぃあの、なー」
「なるほどー」
「きゃわきゃわきゃわって言ってるってこと?
……それにしても、
この
――いやいや、分かってる。
芽衣や山吹先生にも
俺にネーミングセンスがないってことはさ。
――まあそれはともかく、最初はお互いの言葉を少しでも早く
いやまあ、今だって真面目にやってはいるけど、この通り、きゃいきゃいとなかなか
――ここは俺たちが言うところの「東の森」の中、どちらかと言うと俺たちの出口の
獲物を解体するためのでかいテーブルみたいなものとか、それに使う道具類、かまどなんかの調理設備に加えて、ひと休み出来る
まあ見た目は、ちょっと
――その結構大き目の小屋に、俺たちの方は四人。
俺と山吹先生と芽衣、それに
ザハドの
――ちょうど今は、日本語だけで話すという約束の時間帯なのだ。
ちなみにエリックは言葉を覚える気は全くないらしく、この
この勉強会は週に二回ほどの開催
特にオズ先生が加わってからは、言葉ばっかりじゃなくて、ここの社会の仕組みや文化についての知識をも得ることが出来るようになった。
四日ほど前に、リューグラムさん
「――何かいい
芽衣が鼻をひくつかせている。
確かに窓の外から香ばしい……何かを焼いているような香りが
ちなみに、小屋の
「
首を
「匂いっていうのはね、こういうのよ」
山吹先生が顔の前の空気を集めて、鼻に吸い込ませるようなジェスチャーをする。
「ああ、
なるほどよしよし、これでまた一つ
匂いなんて割と基本的な単語だと思うんだけど、こういう目に見えないものってなかなか意識しづらいところがあるからね。
オズ先生も、すかさずノートのようなものにメモしている。
「これ、この、におい。にくのにおい」
……こうやって覚えたことをさっと使えるようになるのが、リィナの
――そうそう、
山吹先生を「はぅみ」と呼んでいたのも、ちゃんと「はずみ」と
最初は発音しづらそうで「はずぅみ」みたいになってたのはご
知らんけど。
――ところでこの言語習得のための集まりには、以前から芽衣たちも参加したがっていたところを、遊びじゃないからという理由で
一応、それぞれに班の仕事があるわけだしね。
だけど、ここに来て
それは、昨日の午後のこと――
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