第五章 第27話 学校訪問 二日目 その7
エレディールの西方に位置する、リンデルワール
その
そして、リューグラム
その水源であるザナーシュ湖の
ザハドの西の森の
その地に、周囲の建物と共に
二つの文化が、禁じられた地にて
最後の追い込みとばかりに、各所で言葉を
※※※
「なあ、お、男はいないのかよ、男は」
「残念ながらいないわねー。ザハドにはいたけど」
場所は、校舎二階の図書コーナー。
時刻は……午後九時過ぎ。
「まずあれね、この中でリィナやシーラとちゃんと
当然のように場を仕切り倒す
このメンバーではさもありなん、である。
そもそも
「えーと、お、俺、
「僕は、えー、
口をもごもごさせながらも、それでも素直に名乗る二人。
彼らに対して、リィナとシーラはにっこりと笑いかけながら、
「サブリナ・サリエール。リィナ、よぶ」
「ドルシラ・ギール。シーラ、よぶ」
と右手を差し出した。
思わず顔を見合わせる聖斗と朝陽。
なかなか差し出された手に
「えーと、
「えっ、な、何だっけ? 私も分かんない」
いきなり聞かれてわたわたと
その様子を見ていたリィナが、
「あー、わたし、わかる。おとこのこ。わたし、
「おー、
そう言って聖斗たちの顔を
「あのね、言っとくけどこの二人、あんたたちのいっこ下なんだからね」
「ウソだろ!?」
「マジで?」
「マジだっつーの」
そう答えながら、芽衣は自分の飲み物をくぴりと一口飲んだ。
冷蔵庫でしっかりと冷やした、グァバ
それにつられたかのように、他の子どもたちも飲み物を口にする。
リィナとシーラは、そんな
――もしリィナが日本語をもっと
それでも、正確には分からずとも大まかなニュアンスを感じ取れるくらいには、特にリィナの日本語能力は上達していた。
そしてそのことは、彼女のある能力の向上にも
「それで芽衣
何と、芽衣は四歳下の聖斗たちに自分のことを
聖斗としては、最初こそ相当な抵抗があったようだが、一度そう呼び始めたらいつの間にか自然になっていた。
澪羽に対しても「
そう呼ばれることに、澪羽は多少の
一方
それでも当初の「苗字
「別に深い意味はないよ。大人は大人たちでいろいろやってるから、あたしたちも子ども同士で仲良くしようって思っただけ」
「んーでもさ、仲良くするのはいいけど、何話していいのか分かんないよ。俺、言葉とかちんぷんかんぷんだしさ」
「僕は、何となくぼんやりとだけど、分かるような気がするんだよね」
「マジかよ、朝陽」
「うん」
すると、
芽衣はその様子に気付いた
「言葉は確かに難しいし、あたしもまだよく分からないけどさ、昼間のドッヂボールとか面白かったじゃん」
「うん……まあ、確かに面白かったけど」
――ドッヂボールもバドミントンも、子どもたちは子どもたちでとても盛り上がったのだ。
最初は「女子に当てるなんて」と、若干
しまいには、上手くいったらハイタッチや
それが時間をおいてしまって、急に「照れ」がぶり返している。
芽衣はポケットから何かを取り出した。
「じゃーん。という訳で、もうちょっと仲良くなるためにトランプを持ってきました!」
「あれ、それうちのクラスのやつじゃん」
「そう? 洗濯物を
朝陽の
「そうだよ。他にも将棋とかオセロとかあったでしょ? 遊びクラブで使ってたやつだよ」
「あったよ。でもオセロとかは二人でしか遊べないから、取り
「トランプって、何やるんだ?」
「ババ抜きね」
――それからしばらく、ああでもないこうでもないとわちゃわちゃしながらも、七人の子どもたちは、いつしか笑い声が
その
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