第五章 第21話 学校訪問 二日目 その1
「――――!」
「******!」
耳慣れない掛け声のようなもので目が覚めた。
(おいおい、マジか……)
昨日の夜はちょい
眼をぐしぐしと
パーティションの向こうから、あちこちでごそごそ音がするから、俺と同じように起こされた人が何人かいるんだろう。
のろのろと着替える。
……少し洗濯物が
たった二日分程度ではあるけど、
――タオルと歯ブラシと水の入ったペットボトルを持って、指定の洗面所に移動。
洗面や歯
もちろん
半月ほど続けてるけど、今のところ目に見える異常は起きていない。
――職員室からは、既に忙しそうに立ち働く
ガララッ。
「キャッ」
おっと。
ドアが勢いよく
「おはよう、
「あっ、す、すみません、おはようございます。先生」
「朝早くからご苦労さん」
「あ、えーと……はい」
「リィナたちはどう?」
お客さんたちのうち、リューグラムさん
――ちなみにだけど、リューグラムさんたちをファミリーネーム呼びして、アウレリィナさんは名前呼びしてることに、特に深い意味はない。
アウレリィナさんについては、本来は「ヴァルクスさん」って
でも「
面と向かっては「
リィナと若干
……「何とか
――それで、リィナとシーラとエリックは野営道具がないこともあって、図書コーナーにスペースを作って、そこに俺たちと同じような段ボールパーティションで個室を
「まだ寝てると思いますよ」
「そっか。まあそろそろ起きるだろ」
「そうですね」
――ザハドの町では、多くの人は一日の最初になる
こっちで言うところの午前六時だから、仕事やら何やらでそれより早い人も遅い人もいるだろう。
……ふと思ったが、この辺だと鐘の音は聞こえてこない。
彼らは起きられるんだろうか。
――そんなことを考えていると、職員室の中から
「おはよー、八乙女せんせー」
「おう、おはよう、
「まあね。仕事だからね」
なかなか偉そうなことを言う。
ま、実際頑張ってて偉いんだが。
「そう言えば、グラウンドの声、聞こえたか?」
「うん。リューグラムっちが
ちょっと待て。
「……お前、リューグラム
「当たり前じゃん。あ、『
「そうだけど! ……全く、そう言うの
まあ日本語じゃあ言われても分からないだろうけど、万が一説明を求められたら面倒だしな。
「そうそう。ちょっと教えて欲しい言葉があるんだけど」
「ん? 何?」
「『バカ』って、何て言うの?」
「お前ね……英語を習い始めた中学生みたいな質問はやめなさい」
「いいから、早く」
「ったく……確か『カダグラーヴァ』だな」
「やだ……何かかっこいい」
……意味を教えてやるか。
「あのな、カダグラーヴァって『
「何で桶なの?」
「
「ぷ。ウケる」
けらけら笑う芽衣。
「やたらめったら使うんじゃないぞ?」
「分かってるって。あ、まだ朝ご飯は準備中だからね。じゃーねー」
「私も準備に戻りますね、先生」
「あ、うん。よろしく頼むな」
「はい」
そう言って、二人は職員室の中に戻っていった。
……そう言や
ガラッ。
赤い顔をして澪羽が出てくる。
「私、保健室に行くんでした……」
――食事の準備は、特にこの三日間についてはいつも以上に大変だと思うから、本来なら手の
忙しくしてるところに、ポンと飛び入りがあると、
まあきっと、気を
俺や山吹先生は、お客さんがいる間はそっちに付きっきりになるから、準備やら片付けやらの仕事は、ありがたいことに全面的に
そう言われてたら、無理やり押し掛けるわけにもいかないし……ひげを
◇
昨日の第一日目は、ちょっとボリューミィなプロローグ。
――そして、ザハド
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます