第五章 第10話 要諦
「
「ヤァ。バルトゥス」
俺が
……何と言うかその……視線を非常に定めにくい状況ではある。
細かく説明はしない。
――ザハドに着いて、今日は二日目。
ここはセラウィス・ユーレジアにある
予定通り俺たちはここで、リッカさんから
とりあえず、昨日の第一日目の会食やら何やらは
まあ……今回は
会食のホスト役がまた知らない人だったのは、ちょっと驚いたが。
ラマファール……えーと、何だっけ。
セラウィスと言われて、そっちに気を取られてしまった。
セラウィス・ユーレジアのセラウィスと、きっと何らかの関係があるんだろうし、ちゃんと説明もしてもらったんだろうが、結局よく分からずじまいだった。
――リューグラムさんは
しかし……セラウィスという言葉から察するに、ラマファールさんがこの屋敷の
彼こそが、リューグラムさんの代理人ということなんだろうか。
「……ノス・りょーすき?」
「あ、は、ヤァ」
リッカさんがじっと俺の顔を見ている。
やべやべ、大事なレッスン中だった。
この練習に参加しているのは、ザハドを訪れている魔法班のメンバー――俺、加藤先生、
魔法の先生はリッカさん、通訳がサブリナだ。
――教頭先生と
思いの
ま、今日の宿になる
さあこれから各自行動って時になって、入口のところでサブリナとドルシラが何やら
――それで今、俺たちは一つの
机の上には
ちょうど俺の
ただし、まだそれらには一切触れられていない。
どうやらリッカ先生の
それで、冒頭の「胸?」の
――そうそう。
いろいろ新規に知ることばかりの中、また
どうもこちらの人たちは、お互いを呼ぶ時に普段は「通称」のようなものを使うのが一般的らしい。
リッカ先生は、本当は「ドロテアリッカ」と言う名前らしいが、その通り呼んでいたら
何か間違ったか? と思ったけど、そうじゃなかった。
確かによく思い出してみると、サブリナやドルシラも、「リィナ」とか「シーラ」とかお互いに呼んでいた気がする。
「ドロテアリッカ、ノイン。リッカ。レーロラウリッカ、ルテーム」
後半はよく分からないものの、恐る恐る
念のため、横にいたサブリナに「
……もしかしたら、俺のことを「りょーすき」と呼んでいるのも、
最初が
――おっと、授業に集中せねば。
「フォーレスムルレブラム」
そう言って、リッカ先生は自分のおでこを指さす。
そこから指は顔の真ん中、
「スタウトムルバルトゥス」
そして何かを放射するかのように、手の平を前方に向けて
その仕草を、
「先生、どういう意味なの?」
「頭から胸まで魔力を流して、発射! みたいな?」
加藤先生が代わりに答えてくれたが、
「魔力って何? どうすればいいの?」
新たな疑問が生まれてしまった。
するとサブ……リィナが、目を
「フォーレス、する、んー、あたま?」
と言った。
フォーレスする……フォーレスって何だ?
でも、なかなかでっかいヒントなんじゃないか? これ。
「……頭ですることって、思うとか考えるとか想像するとかじゃ、ないですか?」
「それだ!」
我が意を得たりとばかりに、加藤先生が澪羽をびしと指さして
澪羽の肩がびくっとする。
「魔法ってのはですね、イメージが大事なんです。起こしたい事象や現象を出来るだけ明確に頭の中でイメージ出来るかどうかが」
そうなの? 加藤先生。
何か妙に説得力があるけど、それって何かの
「その、思い浮かべたイメージを、こう、胸からぶしゃっと、放出するんですよ。きっと」
「ぶしゃって……」
「ヴェッララウ」
すると、リッカ先生がそう言いながら再び額を指さし、「フォーレス」と
先ほどと同じように、指を胸まで
「わっ!」
「えっ?」
何と! ……
もちろん、球には全く触れていないのに……。
「マ、マジかよ……」
「これって……魔法って言うより、超能力?」
「
球は壁にぶつかり、勢いをなくして頼りなくころころと転がっている……――
――俺たちは
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