第五章 第04話 大晦日 その3
「今日まで約半年の間、誰一人欠けることなく、この
他のみんなも、それぞれ好きな飲み物を選んで手にしながら、じっと話に聞き入っている。
「
「乾杯!」
各自が持つLEDランタンと投光器が明るく照らす職員室の中、そこここでカップを控えめに打ち合わせる音が響く。
俺――
自然と拍手が起こった。
――それにしても、んー半年か……確かに
こっちの人が「ギーム」と呼んでいる、
魔法としかいいようのない、あの不思議な現象……。
それ以外のことは、転移現象そのものを
――でも「
まさかあんなものが、ごく当たり前のように存在しているとは……。
「
「ん? これはえーと、あのアセロラみたいな
「ふふ、それって何か違うんですか?」
「……分からん」
「何ですかそれ」
ま、この子は
それにしてもご機嫌だな……上野原さん。
もっとも、楽しそうなのは彼女ばかりじゃない。
何しろ、今日は
一応メインの年越しうどんを筆頭に、ピザ、焼肉、
とにかく、小麦粉が
と言うよりあれか、今までは備蓄してあった非常食と諏訪さん提供の
つくづく、ザハドとの交渉が上手くいってよかったと思う。
まあそんなわけで、職員室の
外に出てる人たちもちらほら見かける。
「八乙女先生、私、ちょっとあっちに行ってきますねー」
「はいはい」
そう言ってカップと皿を持って移っていった上野原さんの行き先では、別の
別にいちいち断らなくてもいいのに、
――というわけで俺は今ちょうど、ぼっち状態になっている。
各料理がそれぞれの島にどかんと盛られているから、席に座って食べるという感じじゃないのだ。
……こうして見ていると、自然にグループに分かれていくのがとても興味深い。
中学年部の島には、教頭先生、
外のたたきのところには、少年二人と女子高生二人が。
その三人に
――この約半年間を非日常的な環境で過ごしてきてはいても、基本的な人間関係は転移前と大して変わらないなあと思う。
飲み会なんかでも、最初は席が決まってるんだけど、
そういう時、最初から最後までずっと誰かとしゃべりっぱなしの人もいれば、今の俺みたいに数分間、その人の周りだけ風が
別にハブられてるとかじゃなくてね。
俺は一人で飲み食いするのに何の抵抗もない人間だから、そうした
ま、大抵の場合はすぐに誰かが寄ってきて、静かな時間も終わっちゃうんだけど。
「八乙女せーんせ」
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