第四章 第15話 ザハド訪問二日目 その2
「
「バジャ?」
「
「フォマ?」
「
リィナです。
今、広場に着いたとこ。
ここが
私は
――広場には
別の
通り沿いにはちゃんとした店舗や卸売り用の店が
「ヘエ、イロンノミセガルネェ」
「ヤタイノジュッビ、シテゥミタイ」
「ナンカタシタチ、ミラレテンネ」
りょーすきたちはそういうのが嬉しいみたいで、
でも、言葉が通じないのが分かると、町の人の方がびっくりした顔をするんだよね。
……まあ分かるけど。
カーン……カーン……カーン……キン……キン…………
この
もう何回か説明してるんだけど、まだちゃんと分からないみたいだ。
「カニガサンカイナッテ、チッサイカニガニカイ……」
そう言って、りょーすきが例の
「ジューイッジゴフ……オスラクゴゼッジューイッジヌカネナンダネ」
みんなで
何を言ってんのか全然分からないけど、
◇
サブリナが俺――
相変わらずスマホが珍しいみたいだ。
……まあ、そりゃそうだろうな。
――広場周辺の店をあちこちサブリナとドルシラに案内してもらっているうちに、
どうやら正午を知らせているらしい。
ここがどういう時刻の制度を用いているのか分からないが、セラウィス・ユーレジアでは砂時計のようなものを見かけたし、日の出と最初の
「美味しいね、このピタサンドみたいなの」
「中のお肉、これ何だろ……ラムっぽい?」
鐘の鳴る少し前から、広場ではそこここで屋台が店を開け始めた。
しばらくしてから
早速目ぼしいところから試食を始めている。
「屋台と言えば串物が定番だろう」
異論はない。
俺たち
小ぶりな白い花が風に揺れている。
「シンプルな塩味ですが、結構いけますね」
「
――どうやらこの町ザハドは、岩塩の採掘が盛んな場所らしい。
さっき見たある店では、同じピンク色でも濃いのから薄いのまで、様々な岩塩が大量に売られていた。
以前提供してもらったあれ、恐らくここで産出したものなんだろうな。
この串肉も味付けはどうやら塩のみのようだが、焼き方が
「ポリフォラスピート!」
サブリナたちが、人数分の果実水を買い求めて、わざわざ持ってきてくれた。
実にありがたい。
横の二人はアルコールが欲しそうだったが、さすがに
――がぶがぶもぐもぐと肉を
それほど混みあっている
ほとんどの人が徒歩で移動していて、たまに荷物
馬車も時々見かける。
カーロって言うんだっけ、馬車のこと。
「どういう人たちなんだろうなあ、この通行人たちは……」
「観光客もいるようですが」
俺の
「地元の人も割と多いように見えますな」
「それにしても……かなり見られてますねえ、我々は」
「そんなに目立ってるんですかね、俺たち。髪の色ですかね」
アニメみたいに、青や緑やピンクの髪色の人たちなんてのは
一番目に付くのは、いわゆるブロンドだな。
灰色がかっているものや赤っぽいもの、プラチナのように輝いているものなどいろいろだけど、基本は「金髪」と言って間違いない。
日本人のように染めている感じは一切しないので、そういう民族の方々なのだろう。
「街並みが、若いころに行ったルツェルンやツェルマットを
「この山が迫ってくる感じなんて、私は富士吉田市を思い出しましたよ」
顔だちも、サブリナたちのようにコーカソイド系の人たちばかりだ。
――サブリナと言えば、彼女が十一歳だと聞いて驚いた。
うちの
サブリナもそうだけど、ドルシラなんか特に高校生くらいにしか見えないが、まあ口にはしないでおこう。
年齢の話はとにかく
「りょーすき」
そのサブリナが話しかけてきた。
「メーレ? ニオカルネ」
「ニオカルネ?」
俺の串の肉を指さして、
「カルネ」
肉のことをカルネと言うのか?
「
「オーナ」
そう言ってにっこりと笑うと、俺の横に腰かけた。
「セグネールヌソラウテスパローラ」
「パ、パローラ?」
「ヤァ。テスパローラ」
再び俺の串の肉を指す。
「カルネ」
「
「テスパローラ?」
そう言うと、今度は俺の口を指さした。
どういう意味だ?
「
するとサブリナは少し考えてから、自分を指して「サブリナ」、俺を指して「りょーすき」と言った。
それから突然俺から串肉を取り上げると、指さして「カルネ」と言う。
で、串肉を俺に返して小首を
「ヴォッド?」
「にく」
驚くほどすんなりと、俺の口から言葉が
「オウ、ニィクゥ?」
「
もしかして……
――なるほど、「パローラ」って言葉とか単語と言う意味なのだろう。
テスは分からんが。
「やあすごいですね、八乙女さん。そうやって少しずつ分かり合っていくんですね」
「サブリナも、なかなか
女子の方も、ドルシラと何やら笑いあっている。
思うに、「ヴォッド」が「何」だと
これで少なくとも、指を
「しかし……こうしていると海外に職員旅行にでも来ているようにしか思えませんね」
「私はまあ、今でもここは地球だと思ってますがね」
「実際、地球じゃないって証明する方が難しいと、俺も思いますけど」
道行く人たちが、時折俺たちに手を振ったり、話しかけてきたりする。
校長先生じゃないが、確かにこんな風に
食料確保という大事な使命をとりあえず一つ果たせたことも、そんな気持ちに
――――!!
突然、俺は奇妙な違和感に襲われた。
「うぐっ!」
俺は思わず胸元を
肉を食べ終わって
――この感覚には……覚えがある。
――俺の頭の中に、森の中で見つけたいつぞやの
あれと似ている。
同じものがあるのか?
俺は周囲を見回してみるが、それらしきものは見つからない。
――と、嫌な感覚が
隣を見ると、サブリナが心配そうな顔をして俺を見ている。
「ユニタオーナ?」
「どうかしたのか? 八乙女さん」
鏡先生までもが、俺の顔を
俺は残っていた果実水を一気に
「だ、大丈夫です。ちょっと……肉を
「気を付けてくださいよ、八乙女さん。
「すいません、校長先生。サブリナ、マロース」
「オーナ?」
「オーナオーナ」
よく分からんが、大丈夫?的な意味だろう。
――足音に気付いて顔を上げると、いつの間にか目の前に
彼女の後ろに、こちらへ
瑠奈は俺の右手を両手に取り、無言で俺の眼を見つめる。
――大丈夫? と、彼女が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます