第四章 第02話 父親二人
「それでな」
「……」
「聞いてんのか? ペル」
「ああ、聞いてるさ」
ちょっと前に
私のお父さんは――いつのものようにあちこち動きながら、エリックさんの話に
「だったらさ、もうちょっと真剣に――」
「いやいやエリック、あんまりこんなとこで話さねえ方がいいんじゃねえか?」
「うぐ……」
とは言っても、周りのお客さんたちは特にエリックさんたちに注意を払っている様子はなくて、みんな好き勝手に騒いでいる。
いつもの風景なんだけどね。
「まだ当分客は引きそうにねえが、どうする?」
「いや、やっぱり今ここで話した方がいい。リィナちゃんがいるうちに」
「わ、私ですか?」
「そうだ。ほら、こないだ持っていっただろ? 二回目のを」
「あ、
最初にりょーすきたちのところに
それ自体は特に問題なくって、一回目と同じ(
その時の様子なんだけど……
※※※
「シーラ、この
「たくさんの
「はぅみたちを
私が、絵の四人と目の前にいるはぅみを
「
と、嬉しそうに
「そうみたいです」
で、この上の一人と四人を線で結んで、指を行ったり来たりさせたり、口の前で手をぱくぱくさせたりしてるのは……。
「話したい……じゃないのかな?」
ヨナさんが恐る恐る言う。
「話したいって、
「うーん……」
「この上の一人とってことか」
すると、はうみがたくさんの人の中に新しくもう一人
そして、私と描き足した人を交互に指す。
「これが、私ってこと?」
私が自分を指さすと、はぅみがにっこり笑って
「
更にもう一人描き足して、おんなじことを今度はシーラと。
「あたしやリィナを
「――――
「つまり、この人たちは
その時、私は突然「
「!」
私は思わず、はぅみの後ろに立ってるりょーすきを見た。
いつものように小さな四角い
そして、ゆっくりと
※※※
――とまあ、こんなことがあったのだ。
「そんな感じで、あの人らが町長辺りに
「そのことは伝えたのか? 町長さんに」
「いいや、まだだ。先に
「
「リィナちゃーん、
話は気になるけど、とりあえず
「
「それで、何て申し上げるつもりなんだ?」
「何てって、そのまんまお伝えするしかねえだろ?」
「そのまんまって、
「そうだ」
戻ってきた私の前で、
「そもそも、何でその人たちは町長さんに?」
「さあな。俺にも分からん。何か頼み事でもあるんじゃねえか?」
「あのね、お父さん」
「ん?」
「リィナー! この
「あ、ちょっと待ってて。行ってくる!
「……それで、
「まあ、そもそも
「シーラも連れていくつもりだ。要するに最初に会った時の
「分かった。
「そうそう、でね、お父さん、エリックさん」
「りょーすきたちが話したい事って、多分だけど……『
「交換? そんなこと話してたっけ?」
私は首を横に振る。
「んーん、私がそう思っただけ」
「どういうことだ? リィナ」
「えーっとね」
私は二人の顔を見る。
「何となくだけど、あの時りょーすきの顔を見てたら、そんな風に感じたの」
「――リィナお前、まさか……」
「んーん、違うよ。お父さん。私は何にもしてない」
首を振る私を見て、エリックさんが
「ふーむ……それなら
「連れて行くって、どこへ?」
「
「ええっ……いや、そんな気がしてたかも」
だって、私が
りょーすきたちと直接話をしているわけだし。
「それじゃ、早速だけど明日、まず町長のところへ行く。出来ればそのまま代官屋敷にも行って、代官様に相談したいとこだな」
「分かりました」
「よし、じゃあペル。リィナちゃんを借りるぞ」
「仕方ねえな……」
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