第三章 第18話 禁足地の異人
急に真面目な顔をして、エリックさんが言った。
「あの人たちとは、あんまり関わらない方がいいかも知れん」
「え?」
「どうしてよ、パパ」
ガラガラガラ――――
「あの人たちはな、多分
「……ああ、
「そうかも、知れないけどさ」
――あの
そしたら、多分重くて運べないから助けてほしい、みたいなことをりょーすきが言ったんだと思う。
確かにそれもそうかと思った。
あんな重い
だから、ちょっと時間はかかっちゃうだろうけど、エリックさんの
――ところが、
どんどん森のはずれに近づいていったから。
「あーなるほど、
ロヨラスさんが前を向いたまま、察して
「そうだ。それにな」
禁足地で、でっかい
私たちは、運んできた荷物をりょーすきたちがその鉄の箱の中にしまうのを、黙って見ていた。
……森から出ないよう、
私は、あの時禁足地を生まれて初めて見た。
でも、あそこがそうだと自然に理解できた。
聞かされていた通りの景色だったから。
一面に広がる
うっすらとほんの少しだけ
それだけが――私の見た禁足地の姿だった。
そして、りょーすきたちはその禁足地を、さらに西に向かって帰っていった。
「あの人たちは、恐らく禁足地に住んでる。そして、俺たちが見たこともないようなものを持っている」
りょーすきが持っていた、
見たこともない絵がうつっていた。
何に使うのか説明してくれたみたいだけど、
あの
あれは多分、乗り物。
そしてあの、カレヌオニーリ。
「
エリックさんが続けた。
「あの人たちも、もしかしたらそこら辺から来たのかもな」
「でも
「その人たちは、一体どこから入ったって言うの? 禁足地って
「そうだよね。あたしたちみたいな
「そんなこと、俺にだって分からんよ」
苦笑しながらエリックさんが言う。
「そうとしか考えられないって話だ。さもなきゃ、禁足地の真ん中に突然ぽっと現れたか」
「もっとあり得ないだろうね」
「ないない」
「ともかくだ、あそこはもう本当にずーっと遥か
「ん?」
「俺に仕事を依頼してきた、リィナちゃんちの
「ああ、えーとですね」
私はその人の顔を思い浮かべて答えた。
「エリィナさんです」
「そのエリィナさんが、正式に領主様の
「そう言えばさ、エリィナさんも不思議な人だよねー。一体何をしに
「私にも分からないけど、いろいろ黙ってろって言われた」
「こわっ」
「僕もね」
ぶるっと
「
「ヨナ兄、何か話したの?」
「
肩を
「お前、何か聞いてないのか?」
「何も? でも悪い人には見えないけどな、あの人たち」
「俺もそうは思うが、
「
帰り道でもおんなじことを言ってた。
「いやな、俺は今日の仕事は、てっきりあの……何だっけ?」
「何だっけって、何が?」
「今日、
「りょーすきとはぅみ? あと……れいだっけ? パパってホント、人の
「ふふ」
「うるさい。そのりょーすきたちがエリィナさんに頼んで、荷物を届けさせたと思ってたんだが」
私は、運んできた荷物を下ろして、りょーすきたちに渡した時のことを思い出した。
荷物を
私たちは、何でりょーすきたちが荷物を運んでいかないのか分からなかったし、りょーすきたちはそもそも何のことか分からないって感じで変な顔をしてた。
それからかなり苦労して、荷物を持って行ってもらうことを了解させたんだった。
「ぽかーんとしてたもんね、あはは」
「でも何か、すごく感謝してるのが伝わってきたね」
「何らかの理由で、
「うーん……」
「それに、どうもエリィナさんはなあ……――りょーすきたちが
エリックさんが、突然私の方を向いて、
「リィナちゃん」
「
「これからも、こんな風にエリィナさんから仕事を頼まれるみたいなこと、あるのかい?」
「どうなんでしょう。特にそう言われてはいないんですけど……」
いつもの
もうすぐ
「そう言えば、エリックさん」
「ん?」
「前にシーラに聞いたら教えてくれなかったんですけど」
「!」
「ロヨラスさんって、どうして
急にシーラが
「そんなこと、どうだっていいじゃない」
「わはははは、それはな」
「ちょ、
「
「シーラの?」
「そ。最初は僕、しばらく『ヨーラ』だったんだよ。でも
「ぷ。そうだったんだ、ふふ、かーわい」
「も、もういいでしょ! あたしは覚えてないんだから!」
「わはははは」
「あはははは」
すると、どこからともなくいい
「……お腹空いたね、リィナ」
「うん」
「今日は何かおすすめのもんでもあるのかい? リィナちゃん」
「
「ははは、そうだったな」
「でも何かあたし、
「そう言えば私も」
(エリィナさん、今頃何をしてるのかな)
近付いてくる見慣れた建物をぼんやりと
◇
「彼女たちは、ちゃんとやってくれたみたいだな」
「はい」
「分かった。
「はい」
「これで、よろしいのでしょう……?」
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