第三章 第13話 リィナとエリィナ
カーン……カーン……カーン……カーン……カーン……カーン……カーン……カーン……カン……カン…………。
ああ……
怖い。
なけなしの
「どうぞ」
カチャリ、ギィィ――――
中からの声に従って、私はそっと
「ど、どうも……
「そこに座って」
「
私は指示された
ちょうど逆光になっていて
無理もないけど。
「……」
「……」
しばらくの間、
「……」
「あ、あのう……ごめんなさ――」
「謝罪はもういい」
エリィナさんが首を振ってぴしゃりと
「謝らせるために呼んだのではない」
「そうなんですか? それじゃあ――」
「それで、どうだった?」
「ど、へ?」
どうって……何がだろう?
「あの
「ええ? み、見てたんですか?」
「
「う……」
どうと言われてもなあ、結局何もしないまま逃げてきちゃったから……。
「ご覧になってたのならご
「ああ、確かに。あの者たちは少なくとも
「あ、あの人たちを
「……」
エリィナさんは私の
「君たちが単なる
「……」
「やはり
「ええっ!」
ガタッ――――
私は思わず、立ち上がってしまった。
「一年分も!?」
「そうだ」
「それじゃ、宿を移られるということは……」
「もちろん、その分は
「そんな!」
「
「う……」
「あの、何とか思いとどまっていただくわけにはいかないでしょうか」
「……」
「ホントにもう、今回のことはこの通りお
私は体を半分に折りたたんで
「大切なもの?」
「私の
「確かに、君の父君と母君は、とても感じの
「う……」
自分が情けないのと、こんな時なのに
そんな私をエリィナさんの
そして、
私もこれ以上何を言っていいのか分からなくて、ただひたすら
――――そうしてどのくらいの
「まあ、座りなさい」
「はい……」
浅く椅子に座ると、私はエリィナさんの顔を見上げた。
……何となくだけど、うっすら
今の私には、その笑みを見て安心することなんてできなかった。
「こちらとしても」
私の表情をどう読んだのか、さっきまでの冷たい感じが少し
「慣れた寝床と
「……」
何か、何かイヤな予感がする……。
「一つ、頼まれて欲しい」
来たーー! 来ちゃった!
「あ、あの、あのでも、私、悪いこととかいけないこととか、出来ませんっ! あのっ、ごめ、ごめんなさいっ!」
「……はあ?」
「いや、別に悪事の
「へ? そ、そうなんですか? 私てっきり……」
「まあ、ここで交換条件のようなものを出せば、そう取られるのも無理からぬことだろうが……。で、どうかな? 引き受けてもらえるだろうか」
「出来ればあの……返事は内容を教えていただいてからというわけには……」
「それは構わないが……」
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