第三章 第03話 修行……?
「はあっ!」
「せいやっ!」
俺たちが職員室ごと、この見知らぬ土地に転移してから一ヶ月
――そう。
もうはっきり「転移」と言い切ってしまっていいと思う。
「職員室」は「転移」したんだよ、転移。
ただ……ここが地球かどうかについては、まだ
って言うか、それを判断するための新しい材料がないんだ。
転移当初から。
個人的には、地球のどっかじゃないかなって思ってる。
――だってさ、地球以外の惑星で俺たちが
仮に別の次元とか、多世界とか、そんなトンデモな話になったとしても、だ。
そこまで宇宙は、地球の人類に優しくないと思うんだよなあ……。
――まあその話は置いておこう。
まずは俺たちの現状だ。
転移してから
あるものは利用し、ないものは作るか代用品を考案する。
「シッ!」
「そいやあっ!」
大切なのはバランスだ。
この世界のいろんなことに
今まで出来ていたことはなるべく出来るように、無理ならば代わりになる事を
――割り切れていないと
いやいや、なぜ割り切る必要があるのか。
俺たちは
最終目的である元の世界に帰ることを諦めてはいな――
「ふんっ!」
「ぐふぅっ!!」
――俺は思わず背を丸め、よろめいてしまった。
「だ、大丈夫ですか?
「う……く……だ、だいじょぶ……です」
「
「ははは、分かっちゃいますか」
「丸わかりです」
そう……うぐぐ。
俺たちは今、空手の練習をしているのだ。
今いるここは、校舎の三階。
転移してきた当初には、階段が
「今みたいに、相手が息を
「うぅ、やれやれ……たった今、身を
「そう、だから相手の突きを
「ああ、そうかなるほど。突く時って息を
「その時には、ぼっ立って受けるんじゃなくて、こうして足をこっちに寄せて
で、何で空手なんてやってるのかと言うと、えーといつだったかな……。
ある時、椎奈先生が暇つぶしとか面白半分で
「大体、『突くわよ~』って
「確かに。普通は
「そう。だから相手の
「不意打ちってこと?」
「まあそうです」
ここでは俺と椎奈先生以外に、小学生
「ふっ!」
「ふっ!」
「……!」
相変わらず声は出ていないが、彼女なりに気合は入っているらしい。
最初の頃こそ何となく
彼女を特に気にすることなく自分たちの練習に集中している。
もっとも、一番驚いてたのは瑠奈さんのパパとママだけど。
「私、空手以外にも武道をいくつか
「へえ……っていうか他にもやってるんですね。どうして?」
「投げたいんですよ……」
「……は?」
「
へへじゃないが。
はにかみながら何言ってんだろうなこの人。
「私のやってる空手の流派には投げが少ないから、知らないだけかも知れないけど、まあそんなわけです」
「はあ……」
「で、さっき言った五要素なんですけどね」
あれ……これってまだ続くんだろうか。
とりあえず今日は休日だからいいけどさ。
「位置・間合い・角度・速度・
初めの頃は、みんな何かに追われるようにしゃかりきになって働いてたのが、やっぱりちゃんと休みを取った方がいいって話になったのだ。
「位置って、突く位置?」
「そう。突きでも蹴りでも急所に当てろってことですね」
だから今は、月火水と働いたら木曜日に休んで、金土ってまた働いて日曜日に休む、みたいな週休二日体制になっている。
転移してからも、元の世界の
「ふうむ。急所の位置とか、相手との距離とか、スピードとかが大事ってのは分かるよ。虚実ってのはさっきの不意打ちのこと?」
「はい」
ちなみに今日は、木曜日。
「角度なんてのもあるんだ」
「ありますよ。ちょっと
「へ?」
「いいから、構えて」
「はあ、こうですか?」
椎奈先生は一歩下がると言った。
「分かりやすいところで、
「水月、とは?」
「
そして、ちょっと大げさに振りかぶるようにして、俺の水月とやらを上から突いてきた。
「うっ」
「上からだと構えた手も邪魔だし、あんまりダメージ入らないでしょ?」
「え……結構痛かっ――」
「でもこうして!」
ズドム、と椎奈先生の
「!!!!!!!!!~~~~~~~~………………」
「こうして下から突くと、同じ力でも――」
俺は今度こそ
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