第二章 第10話 第一回情報委員会 その2
「ふう……こんなものかな」
右肩をぐるぐると回しながら、あたし――
「お疲れ様。結構な量があったわね」
腰を伸ばしながら
あれからあたしたち食料物資班の五人は二組に分かれて、早速在庫調査を始めた。
不破先生とあたしの組と、
ま、順当な分かれ方だよね。
あたしたちは災害備蓄倉庫二ヶ所と
「諏訪さんにとっては不幸だったかも知れないけど、学生協の車が一緒に来たのは、私たちには不幸中の幸いと言えるかしらね」
「うん。はっきり言ってラッキーだったと思う」
諏訪さんの車は、校舎北側の駐車場にとまっていた。
配達中の荷物を
そして諏訪さんは、それらの物資を
うちの学校に
「諏訪さんも先生たちも偉いよねー。
「ふふ、こんな時だからね」
不破先生は事もなげに言う。
でも、
先生なんだからって言われそうだけど、先生だって人間なんだし食べなきゃ死んじゃうのは変わらない。
まあ何だかんだ言っても、食料には多少の余裕が確かにあるし、それほど
「でも諏訪さん、もし元の場所に帰れた時、会社的にマズい、みたいになったりして」
「その時はちゃんと説明するし、負担してあげないとね。実際、私たちで消費するんだから」
「うん、そうだね」
一応、あたしたちの分担場所の調査は終わった。
うちらと花園組とで調べたものを、事務の先生が使っていたパソコンに入れて管理する予定だ。
その作業は、とりあえずは先生たちでやっておいてくれるらしい。
パソコンって聞いた時、電気はどうすんのって思ったんだけど、そこは心配ないんだって。
やっぱり備えておくのってホントに大事だと思う。
ま、こんな事態はさすがに想定してなかったと思うけどね。
◇
それからしばらくして、
夕飯の
「休んでていいって言われたけど……」
急に手持ち無沙汰になってしまった。
いつもならスマホのコミュニケーションアプリで友達とやり取りしたり、スマホ小説読んで時間をつぶしたりするところだけどなあ。
もちろん、時々寄ってダベってた駅ビルのカフェもない。
「う~ん……どうしたもんかなこれ」
とりあえず、施設管理維持班の手伝いでもしよっかなあと思った時、
上の教室から持ってきたのかな。
「どうしたの? 瑠奈ちゃん」
手を
「ボールで遊ぼうってこと?」
こくこくと
二人でどうやって遊べばいいんだ、と思ったけど
◇
というわけで、校舎南のグラウンドでかれこれ二十分は続けてる。
キャッチボール。
初めのうちは、これがなかなか上手くいかなかった。
ボールと言ってもいわゆるドッジボールなので、まず投げ方で迷った。
何しろ瑠奈ちゃんはちっちゃい。
130cmあるかないかくらいなので、普通に片手投げしたら
で、瑠奈ちゃんだけど、普段ボールであんまり遊んでいないのか、なかなか上手に投げられない。
本人は
でもまあいいんだよね。
暇つぶしの遊びなんだから。
瑠奈ちゃんも楽しそうだしさ。
――それでもそろそろ
「そうだ!」
突然叫んだ私を、瑠奈ちゃんがボールを
「ちょっと待ってて、瑠奈ちゃん」
◇
そうして私は戻ってきた。
バドミントンのラケットとシャトルを手にして。
「ねえねえ瑠奈ちゃん、バドミントンやろうよ!」
すると彼女の顔がぱあっと、花が咲いたみたいに明るく輝いた。
そう、私は思い出したのだ。
この学校に通ってた頃、私はバドミントンクラブに入っていたことを。
クラブのある日には、授業が終わると
ちなみに、当時のバドミントンクラブは、体育館じゃなくてグラウンドを割り当てられていたんだよね。
理由は知らないけど。
ともかくそんなわけで、私たちはバドミントンをして遊び始めた。
もちろん、先生たちに許可はもらって。
当然のことながら、瑠奈ちゃんは
私も身に覚えがあるけど、最初の頃ってフェイスとシャトルの
でも、彼女はすごく楽しそうだった。
だから、私も楽しかった。
それから何回くらい打っただろう。
突然、瑠奈ちゃんの動きが止まった。
私の打ったシャトルが、彼女の頭にぽてんと当たって落ちる。
それでも瑠奈ちゃんは、宙を
「ちょっと……瑠奈ちゃん?」
私は彼女に駆け寄ろうとした。
すると彼女は、手に持っていたラケットをぽとりと取り落とすと、回れ右をして走っていってしまった。
――私は、そんな瑠奈ちゃんの後ろ姿をただぼーっと
……いやいや、まずい!
彼女は
私は
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