うん10年ぶりに読んだ感想をつれづれなるままに。
単純におもしろかった。さすがだな、うまいな、とおもいもした。
が、内容としては、歯に衣着せずにいえばさもないものだった。
夏目漱石自身は、先生を、先生の自死へのみちゆきをどうおもっていたのか、と気になった。
丸谷才一の『戦争忌避者としての夏目漱石』が決定的なものになるとはおもう。そこにつけ足すことはなく、つけ足したら蛇足の域をでないだろう。
ただ、繰り返しになるが、私の感想としては、先生の自死へのみちゆきはくだらないとしかいいようがない。
小人閑居して不善を成す、でしかないのではないか。
語り手である主人公の先生への関心、執着が異様で、同性愛だといわれることがあるのはうなづけるし、実際そういうようにかかれてもいる。当時の心理学の流行だったのか、ひとの恋愛(性愛)の過程として、同性愛を経て異性愛へとゆくというのがありますから、それをふまえたものでしかないでしょう。
正直内容としては感心できないものだけれど、表現としてはまだまだ学べるところがあったし、影響された作家の二・三の作品をおもいうかべもした。
夏目漱石も、いまの日本語をつくりなしたパイオニアのひとり。
日本語を読み書きするひとにとっては、必読の作品。