《 第4章 》上空から

「ひっ、ひゃぁあぁあぁあぁあぁ!!」

もう死ぬ、そう覚悟を決めて目を瞑った。


すると突然狐の動きが止まり、奇妙な唸り声をあげた。

それは何やら、痛みに耐えているような、しぼり出された声。

そして狐は私と自転車を、ゆっくり優しく下ろして再び唸り声をあげ始めた。

「…へ、何」

私はただ呆然と立ち尽くしていると、狐は自分の首を抑え始め、元の大きさに戻っていった。

「だ、だいじょぶぞ、、?」

私は先ほどまでは恐怖に怯えていたが、今はそんな事はどうでも良かった。

そして私が苦しんでいる狐にそっと近づこうとしたその時、


'' バサッ ー…''


私の後ろに上空から何かがふわっと着地した。

恐る恐る振り向くと、

そこには言葉で表現できないほど美しい少年がこちらを睨みつけて立っていた。

「…だ、だれっ、、、えっ、空から?え?え?」

その少年は髪は真っ黒で、肌が白く透き通り、首に赤い紐で通した勾玉をさげていた。そして何より瞳の色に惚れた。美しい、何一つ濁りのない赤い色をしていた。

服装は、始めて見た制服だ。

この辺の学校の生徒ではないらしい。

…そっ、そんなことよりも、空から人が降りてくるなんて信じられない!

私の勘違いだろうかー…。

しかし上から降りてくる音がしたし、さっきまでは私以外に人なんていなかったはず!

私は一人であたふたしていると、少年が声をかけてきた。

「おいお前ー…」

「はっ、はいっ!」

あまりにも格好良すぎて、緊張してうまく舌が回らない~///

「今すぐ狐殺鬼(きさき)から離れろ」

「…へ?」

狐殺鬼、?一体なんのこと、、?

「そいつから離れろっつってんだよっっ!!!」

(ビクッ)

き、急に怒鳴られたらビックリするじゃん、、

「その化け物から今すぐ離れないとー…」


「''お前ごと殺す''」


…え、何よ急に。

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明日、この世界から神が消えました 有栖川葉月 @sua_alice

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