財の骨

 今日もオネガイサマは洞穴でどうすることもなく暇を余していた。

 骨を蹴って、投げて、踏んで、割って、それを見て笑う日々が延々と続く。

 そんな時、1人のボロい服を見た男がやって来た。

「おや? お願いでもしに来たかい?」

「お前が噂のオネガイサマってやつか?」

「そうだよ〜。噂を聞いてるってことはやっぱりお願いがあるんでしょ? 教えて〜」

「金をくれ!」

「え?」

「金だよ! 金! ほら! 早く!」

「あ〜お金か〜。いいよ〜。じゃあ今日は帰ってね。明日になったらあなたは億万長者」

「やったー!」

 そう雄叫びをあげて男は去っていった。


 1ヶ月後

「おい! お前! どういうことだよ!」

「なんのこと?」

「お前にお願いしたことは叶ったが、俺の周りの奴がどんどん死ぬんだよ!」

「そりゃあそうでしょ? お金が欲しいんだからお金に見合った代償が亡くなったんだよ」

「何言ってっかわからねぇけど! 返せよ! 殺した奴ら返せよ!」

「うんいいよ〜。返してあげる〜。ちょうど頃合いだしね」


 翌日

「男は目を覚ましません」

「息もしてない」

「そりゃあ、この量の骨の下敷きになったらなぁ」

 そう医者達が口を揃えて言うその場所は男の家だった。

 医者の目の前には骨の山とそれに埋もれた布団と男があった。


「ごちそうさまでした。ふふっ」

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