戦の目

 いつの間にか私の住む山は神聖化され、祠が建てられていた。

「はぁ〜、1日に数十人の願いを聞いていたあの頃に戻りたいよぉ〜」

 ここ最近、この山の神聖化により一般庶民が絶対やってこない。

 いわゆる禁足地になり、祈りに来る人が数年前より格段に減った。

「あ〜ぁ、でっかいお願いをする人。来ないかな〜」

 そう私が祠で呆然としていると、祠の入り口から足音がする。

 客人に気づいた私はすぐに座り直して入り口に視線をやる。

(足音は複数……大体、7人と行ったところかな? 7人なんて久々に来るなぁ)

 そう考えていると、入り口から7人の甲冑に身を包んだ男がズカズカと入ってきた。

「戦人がなんのようだい?」

 そう私が岩の上から声を掛けると、男達はこちらを向く。

「あなた様が伝承にあったオネガイサマですか?」

 そう7人の中でも頭角を表している男がわたしに尋ねた。

「そうだよ。お願いかい?」

「そうだ。今、国は外の国からの攻撃で危機的なのだ。だから、あなた様に私たち日本を勝利に導いてほしい」

 そう言う。

「うん。いいよ! それじゃあ、海辺で待っててね〜」


 1ヶ月後

「船が! 外国の船が沈んでいくぞ!」

「神風だ! 神風が私達を勝利に導いてくれたんだ!」

 風が外国の船を沈め、海辺の戦人達は勝利に喜ぶ。

「うわぁぁあ! 久しぶりにごはんがたっくさんだ!」

 私は舌舐めずりをし、

「いただきます! ふふっ」

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