農の臓
「ねぇねぇ知ってる?」
「知ってる知ってる〜。裏山の噂でしょ?」
「そうそう〜裏山の女神様の噂〜」
「オネガイサマだったっけ〜? いいわよね〜どんな人のどんなお願いでも叶えてくれるんでしょ?」
「そうそう! 私もお願いしようかしら〜」
「え? なんて?」
「旦那を〜」
そう談笑する2人の街人に私は話し掛ける。
「あのその噂の山ってどこですか?」
「え? あ〜、すぐ見えるそこの山〜」
「あなた、オネガイサマにお願いするの?」
「え? あっはい……」
「え〜! 何をお願いするの?」
「それは……」
「ふぅん。君の村の食糧難を救って欲しいんだ〜」
そうオネガイサマは女の顔にグッと自分の顔を近づける。
「お、お、お、お願いします!」
「いいよ〜。助けてあげる〜」
「ありがとうございます!」
「それじゃあ、もう村帰っていいよ〜。帰った時にはもう美味しいものをいっぱい食べられるようになってるよ〜」
そうオネガイサマが言うと、旅の女は彼女の元を去った。
(1週間後)
「すごい! お米も果物も野菜もいっぱいだ! 救われた! ありがとうございます! オネガイサマ!」
そう言う旅の女のいる村は女しかいないかのように静寂だった。
「ふふっごちそうさまでした」
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