page.17「ゲストとサプライズ」

「え?

 これ、ちゃんと格好かっこく撮れてる?

 えー、初めまして。

 世城せぎ家の父にして、世界を駆けるアクション・スター。

 世城せぎ はじめです」



 初っ端から、勘違いもはなはだしい、ナルシシズムに全振りしたジャブを繰り出すはじめ

 病院のベッドに横になりながらにしては随分ずいぶんな、尊大さ。

 そもそも、『世界を駆けている』のは、あくまでも『旅行』なので、完全に虚偽である。



「こんな形になってしまい、恐縮です。

 本当ほんとうは、そちらに直接、赴きたかったんですが。

 もしかしたら冗談抜きで死んでしまうかもしれないので、止められてしまいました。

 うちは、前妻が兄を若くして何人も亡くしているのですが。

 私は、その呪いから免れたようで、なによりです」



 一楽たからすらも上回る自虐。

 この場に相応ふさわしくない、冗長、逆効果でしかない、不吉な発言。



 本人は、これを「ユーモア」「ブラックジョーク」と譲らなかろうが。

 バッチバチに、ダダスベっている。



「さてと。

 私が何故なぜ、今、こうしているのかというと。

 息子である一楽たからについて、補足しておきたかったからです」



「……は?」



 怒りと呆れの混じった、素っ頓狂な声を出す一楽たから

 よもや、ここで槍玉に挙げられるとは思わなかった。



「次男は今、『無職』です。

 しばらく、働いていませんでした。

 でも、誤解きよう。

 それはすべて、私の責任です。

 私が倒れてしまったことで、負わなくてもい罪を背負い、自分を責めてしまった所為せいです」



 おい、めろ。

 そう、一楽たからは思った。



 あんた今、この場にないんだろ?

 途中で中断させたり、出来できないんだろ?

 そんな、がらにも心にもこと、しようとしてんじゃねぇ。



 あんだけ、思いっ切りブチギレた俺を。

 あそこまで失墜した、あんたが。

 殴られようとしていたことさえ、チャラにして。

 フォローなんざ、しようとしてんじゃねぇ。

 


「そして、もう一つ付け加えるなら。

 次男の作品は、実に素晴らしい。

 PCゲーム、アダルトだからといって、侮ることかれ。

 ディテールまで凝った、こだわったキャラ、世界観、ストーリー。

 皆さんにも一度、読んでしい、プレイしてしい、体験してしい。

 私なんて、この歳にもなって、久し振りに奮い立ってしまいましたよ。

 お恥ずかしい」



 うるせぇよ。

 あんた、年がら年中、盛ってんだろうが。

 だからこそ今、そこら辺に理解も興味も知識もる、あやさんと再婚してんだろうが。

 こっちの知らない所で、下半身麻痺のくせして、ズッコンバッコンしまくってんだろうが。

 大体、『恥ずかしい』なら、黙ってりゃ済む話だろうが。



「とまぁ、一楽たからの話は、これくらいにして。

 私の代理として急遽きゅうきょ、別の者を派遣しました。

 どうぞ、拍手でお迎えください」



 言いつつ、手を振るはじめ

 と同時に、映像が切り替わり。



宇宙天家うちゅうてんか!!

 ファミリアン!!」



 何故なぜか、特撮のPVが流れ始めた。

 下半身麻痺の直前まで、はじめが主演を張っていた、最後の作品である。



「『エビリアン』。

 大国バシュラを筆頭とする、冥界より出でる悪魔一家。

 悪魔すらも上回るポテンシャルを秘めた、人間とのハーフ、『魔人』を生み出すべく、人間界に降臨。

 婚約者の選定の為、大規模な人類侵略を開始する。

 ちなみに、双子の姉弟の内、ディアは『心』、アブルは『体』を求める」



「そんなエビリアンの前に現れしは、宇宙からやって来た異星人一家、『ファミリアン』。

 宇宙旅行の真っ最中に地球を訪れ、『観光を邪魔されたくない』が故に、エビリアンと対抗する」



「当初の構成員は、ホワイト・ファザー、レッド・マザー、ブルー・サン、ピンク・ドーター、オレンジ・ベアーの5人組。

 また、ピンク・ドーターの彼氏となった地球人の主人公も、グリーン・スウェインとなり、後に加わる」



さらに、前世の記憶が蘇り、死ぬのを前提で道具として使い回しにされていたことを知り、敵幹部の姉、ディアが改心。

 婚約者候補として最初に目を付けたのがブルー・サンで、まだかろうじて人類を傷付きずつけていなかった背景も手伝い、許され。

 新たなる仲間、ブラック・ハートナーとして、ファミリアンの一員となる」



「こうして7人家族となったファミリアン。

 そんな彼等に、大国バシュラの魔の手が迫る。

 果たしてファミリアンは、家族を、地球を守れるのか」



「因みにオレンジ・ベアーの正体は、ピンク・ドーターの宝物であり、生けるクマのヌイグルミ、カゾクマのアレンくん。

 本作では操演技術により違和感いわかんく、縦横無尽に飛び回る他、司会なども務める、大人気マスコットである」



「……」



「だから、どうした?」と。

 会場の声が、一つとなる。



 現状が、全く把握出来できない。

 一体、はじめは、なにをするもりだというのだろうか。

 


 映像が消え、スクリーンが黒一色となり。

 場内が困惑、静寂に包まれる中。

 突如、開扉かいひ音が、重く響く。



 現れたるは、違う意味で、この場には相応ふさわしくなさそうなシルエット。

 サプライズぎるゲストに、有識者も未見者も、共に驚く。



 熊だ。

 等身大の、熊のキグルミ。

 ファミリアンのオアシス、アレンくん。



 彼がなんと、秀一しゅういち近恵このえの結婚式に、駆け付けてくれたのだ。

 それも、変身後のオレンジ・ベアーではなく、普段の姿をモデルにサイズ・アップした新スーツを引っ提げ。

 どういうわけか、口元にマイクを付けて。



 ーー車椅子に、乗った状態で。



 説明されずとも、全員が瞬時に察した。

 その中に入ってるのが、誰なのかも。

 


「……嘘……。

 ……だろ?」



 日明たちもり家も、世城せぎ家も、度肝を抜かれた。

 特に一楽たからは、驚嘆した。



 先程まで病室にはずの父が、超速パラヒーローみたいな状態で、ここに実際にるのも。

 固定観念により、「女子ウケ狙って日和ひよってんじゃねぇ!!」と、一方的に目のかたきにしていた、オレンジ・ベアーに扮しているのも。

 なにより、下半身麻痺により引退した父が、再びスーツを来ているのも。



 すべてだ。

 そのすべてが、一楽たからにはにわかには信じがたかった。



 全員の注意を惹き付けながら、車椅子を動かし。

 恐れ多くも、アレンくんは、樂羽このはの前に移動した。

 自分が言葉を奪い、こっぴどく拒んだ、樂羽このはの前に。



「……っ!!」



 胸に手を当てつつ、反射的に距離を取る樂羽このは

 トラウマを残されている以上、無理もい。

 むしろ自然、必然でまである。



 アレンくんは、わずかに寂しそうなオーラを醸しつつ。

 床に足を付け、前のめりになる。



 またしても有り得ないことに。

 色々と不安定な状態で、立とうとしたのだ。



 刹那せつな、バランスを崩し、倒れるアレンくん。



 フワフワ素材だったことが功を奏し。

 さいわ怪我けがなどはかった。

 しかし、これまでとは違った意味で、会場の空気を冷やす。 



 いくら、歴戦のスーアクとはいえ。

 老いと手負いの前では、真面まともに動ける道理はい。



「お父さんっ!!」



 見るに見兼ね、助けに入ろうとする前妻、福子ふくこ

 それを後妻、彩が止めた。



「……後生です。

 どうか、お待ちください。

 何卒なにとぞ、手出し無用で、お願いします。

 あの人から、そう仰せ付かっているので」



 それまで、快活なイメージが付き纏っていた彩。

 彼女にしてはめずらしく、悲痛そうな面持ちだった。



「……違うんです。

 てんで、デタラメです。

 ……嘘なんです。

 皆さんが、あの人に、そうしてたように。

 はじめさんもまた、皆さんをだましていた。

 一芝居、打っていたんです」



 世城せぎ家の方に振り向きつつ。

 あやは、続ける。



「『世界旅行』なんて、行ってません。

 はじめさんは、この数ヶ月。

 今日のためだけに、福島こっちに移り住んで。

 秘密裏に、ずっと、リハビリとトレーニングに、明け暮れてたんです。

 私の無遠慮な、急ピッチなスパルタを。

 文句垂れながらも、乗り越えたんです。

 無理が祟って、当日に倒れるほどに。

 ……孤軍奮闘、していたんです。

 秀一しゅういちさんと、近恵このえさんを、祝うために。

 ……樂羽このはさんを傷付けた、大罪を償うために」

「……っ!?」



 衝撃の事実に、思わずあやの方へ振り返る樂羽このは

 次いで、視線を戻し。

 今も尚、満身創痍になりながらも、意地でも立ち上がろうとする、アレンくんを見詰めた。



「……別に、何十年も仕込んでいたわけではありません。

 最初から、カタルシス目当てで、皆さんを陥れたわけではありません。

 事実、あの人の中には、男尊女卑の思想が、未だに根強く残っています。

 それに勿論もちろん、これですべてがチャラになるわけではありません。

 過去を、かったことには出来できません。

 傷も、溝も、決して、埋められはしません。

 亀裂も、決裂も、直せません。

 結局、すべて後付でしかありません。

 でも、それでも。

 どうか、汲み取っては頂けませんでしょうか?

 この会場に、あの姿でる時だけは。

 どうか、ご勘弁、願えませんでしょうか?

 あの人……本当ほんとうに、猛省しているんです。

 急遽きゅうきょ、引退を迫られ、にっちもさっちもいかなくなり。

 既定だろうと、そんな状況で、日明たちもり家と顔合わせをすることとなったとはいえ。

 あの人の行いは、断じて許されません。

 許されるべきでも、ありません。

 こうなった以上、これまで通り普通、家族でなんていられません。

 あの人の元には、なにも戻ってきませんし、残っていません。

 ただ、私が、そばるだけです。

 けれど、すべて熟知した上で、今日まで、老骨に鞭を打って、足掻き続けていたんです。

 我々とて、『努力』とか、『気持ち』とか、『誠意』とか。

 そういった、ていと人当たりと使い勝手のい、分かりやすい武器で。

 お涙頂戴ちょうだい式に、有耶無耶にしようだなんて。

 そんな魂胆は毛頭、りません。

 ですが、どうかっ……。

 ……どうかぁっ!!」

 

 

 感極まり、なんの非もいのに、土下座をしようとするあや

 そんな彼女を、福子ふくこが止め、立たせる。



「……もう結構です。

 もう……十分、伝わりました」



 当てられ、涙を流しつつ。

 福子ふくこは、あやを抱き締めた。



 限界だと。

 一楽たからは、思った。



「……巫山戯ふざけんな……!!

 ……巫山戯ふざけんなよ、クソ親父ぃっ!!」



 せき一楽たから

 注目を一身に浴びながらも、お構いしに叫ぶ。



「……あんだけ、息子ひと虚仮こけに、悪様にしといてっ!!

 いくら目立ちたいからって、みっともなく悪目立ちなんかしてっ!!

 こんな最低な形で、ご都合主義みたいな奇跡しか狙えなくてっ!!

 ここまで、自分のエゴで、俺達を好き勝手、振り回しといてっ!!

 それで、そのざまかよっ!!

 そんなんで今更、あんたのイメージが回復するわけぇだろっ!!

 汚名返上なんか、夢のまた夢の、そのまた夢なんだよ、最早っ!!

 樂羽このはさんの好きなアレンくんに隠れて、あわよくば気に入られようとしてんじゃねぇよっ!!

 性懲りもく自分の我儘、贖罪に、関係も責任もい善良な人達まで、付き合わせてんじゃねぇよっ!!

 ……俺はぁっ!!

 そんな父親のために、『悪書あが』いてたんじゃねぇよぉっ!!

 あんたに自作じぶんのフィギュア、トロフィーを捧げようとしてたんじゃねんだよぉっ!!」



 みっともないのは、自分とて同じ。

 既決のスケジュールを崩壊させ。

 なんなら、涙腺まで崩壊させ。

 大人おとなが、年甲斐もく、猛っているなど。



 それでも、一楽たからは訴える。

 一言、文句言ってやらないと、気がすまないから。

 今だけは、そうまでしてでも、父親を立たせたいから。



「……ヒーローなんだろ!?

 ご当地止まり、引退した身とはいえっ!!

 一時は、子供を、ファンを喜ばせてたんだろっ!?

 そのために、自分の子供を、絶えず、おざなりにしてたんだろっ!?

 なんだかんだ、30年以上もっ!!

 田舎限定とはいえ、第一線で、体張ってたんだろっ!?

 だったら、立てよ、立ち上がれよっ!!

 立ち直って、立て直せよっ!!

 この場限りでも復帰、再起しろよっ!!

 自分は、老いぼれ、落ち零れじゃないって!!

 断じて『二流』『二軍』なんかじゃないって!!

 今この場で、俺達の前でっ!!

 自分が傷付けた、樂羽このはさんの前で、証明してみせろよっ!!

 さもなきゃ、今度こそなにもかも、本当ほんとうに終わりに……!!

 ……益々、になっちまうじゃねぇかよぉっ!!」


 

 どうせ、これもはじめの思惑。

 自分が、こうしてほだされるのさえ、計算のうちなのだろう。



 だからこそ。

 ヘイト、タゲを自分へと向けるべく。

 病室で、あんな発言をしたのだ。



 分かっている。

 一楽たからは、きちんと、理解している。

 その上で、えて父親に利用されているのだ。



 秀一しゅういちは、父親に強く出られないし。

 新郎でもあるので、今日に至っては殊更だ。



 長男、利一としかずが同席していない以上。

 樂羽このはが部屋に立て篭っていた時と同様。

 家長である自分が、叱咤しなくてはならないのだ。



「……っ!!」



 今のが、効いたらしい。

 アレンくんは、声も出さず、両腕を軸に、上半身を起こし。

 スタティック・ストレッチの直後のように、ゆっくりと体を動かし。

 


 そして、ついに。

 膝立ちではあるものの。

 樂羽このはの前で。

 たった一人で、立ち上がってみせた。



「……コノハ、ちゃん。

 ボクと……。

 ……トモダチに、なってくれるクマ?」



 本家さながらの声と共に、腕を伸ばすアレンくん。

 その声は一楽たから、そして樂羽このはには、聞き覚えがった。



 もしやと思い、二人は視線を、仲音なことへと向ける。

 思った通り、彼女は無言で微笑ほほえんだ。

 


 思えば、樂羽このはが出会った当初から、不自然だった。

 いくら本業、実力派とはいえ。

 あそこまで忠実に、違和感いわかんく、エミュれる道理はい。



 付け足せば。

 過去に主役のスーアクをやっていた人の身内だろうと。

 オリキャスが、ノーギャラかつリアタイで、結婚式用のボイスなんて、くれるわけい。

 となれば、今日の出席者から、それらしい人を見繕う他にすべい。



 つまり。

 最初から、仲音なことも協力者だった。

 こうなるのを知った上で、この1ヶ月。

 何食わぬ顔で、一楽たから樂羽このはと、暮らし続けていたのだ。

 

 

 まったくと、一楽たからは思う。

 あんた、俺より、この人っぽいじゃねぇかよ。

 二人そろって、とんだ策士じゃねぇかよと。

 


樂羽このは

 ほら」



 いつの間にか、そばに近付いて来いた月星つくし



 妹に促され。

 樂羽このはは、アレンくんの手を取った。



 和解とまでは行かずとも。

 多少なりとも、理解しようと。

 歩み寄ろうと、樂羽このはは決めたのだ。



「……本当ホント……。

 ……ひどい人ですね」



 依然として、悪態をつきつつ。

 可愛かわいいスーツ越しとはいえ、仇敵きゅうてきを前にしゃべれていることに驚きつつ。

 樂羽このはは、言葉を紡ぐ。



「……許しません。

 私は、これからも、憎み続けます。

 でも……今日だけは、大目に見ます。

 それ相応に、認めます。

 晴れの席を、壊したくないし。

 この場に、その人がないなので」



 冗談めかした調子で整え。

 樂羽このはは、アレンくんを抱き締めた。

 


「……なります。

 ……あなたと、友達に」



 あやの言った通りだ。

 こうまで破壊し尽くされた手前。

 樂羽このははじめは、もう『家族』にはなれない。

 そんな関係には、戻れはしないし、収まれない。



 けれど。

 入院や、冠婚葬祭の際に、見掛けるくらいには。

 話まではせずとも、一緒に参列する程度には。

 樂羽このははじめに、気を許した。



 時間は、解決なんてしてくれない。

 ただ、糸口いとぐちは設けてくれる。

 


 どこからともなく、まばらな拍手が巻き起こり。

 やがて全員が、手を叩いた。



 紆余曲折をて。

 たった一日限定で。

 アレンくんは、両家に歓迎された。

 


 お世辞にも、元通りとはならずとも。

 どうにか、式を続行出来できくらいには、体裁が整った。

 


「いやー!

 素晴らしいアトラクションでしたねー!

 というわけで、改めてご紹介しましょう!

 遥か彼方の宇宙から、なんと!

 みんなのマスコット、アレンくんが、馳せ参じてくれましたー!

 ささ、アレンくんっ!

 どーぞ、こちらにっ!」



 司会者よりも早く動き、新たにスペース、席を用意する秀一しゅういち

 


 勝てねぇなぁと、一楽たからは痛感させられた。



「……先生」



 知らぬ間に、後ろに回っていた樂羽このは

 彼女が、一楽たからの袖を、軽くにぎる。



 その意味を。

 一楽たからは、正確に読み取れた気がした。



「……仲音なことさん」



 了承を得ようと、名前を呼ぶ。

 仲音なことは、腕組みしつつ、無言でうなずいた。



「……サンキュ。

 てわけで、樂羽このはさん」



 少しかがみ、目線と額を合わせ。

 師匠は、命じる。



「どうせ、ここまで舞台無だいなしにされたんだ。

 台本なんか、意味を持たない。

 アドリブを噛ました所で、とやかく言われやしないだろう。

 だから、樂羽このはさん。

 いや……

「……はい」



 共に目を閉じ、くすぐったさを覚えながら。

 二人は、答え合わせをする。



「……飛べ。

 思いっ切り、飛ばせ。

 そんで、飛んで来い。

 君は、自由だ。

 好きに、破壊の、身勝手の限りを尽くせ。

 ありのまま、言葉を、自身を、解き放て。

 あとは、俺が補完、補修する。

 やられたなら、やり返せ。

 それが、俺達だ」

「……はいっ!!」



 力強い返事と共に、用意したスピーチ原稿を構え。

 衆人環視の前で、躊躇く。

 樂羽このはは、自身の原稿を、破り捨てた。



 当初のプラン、希望にのっとり。

 


 この大一番いちばんで。

 彼女もまた大冒険、大博打に。

 アドリブに、打って出たのだ。

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