page.7「ヘヤリーと謎ジェントルマン」
時間は、少し遡り。
といっても、玄関に
「あれ?
ご不在かな?
車は
おーい、
開けておくれよー」
何度かインターホンを押すもコンタクトが取れず、困惑。
そのまま、顎に手を置き、男性は推理する。
「ひょっとして、どこかに引っ越した?
大変だ!
こうしてはいられない……今
いや……それでは、侵略者の魔の手が、今度は
今の僕は、謂わば、彼に残された切り札、最後の希望!
となれば、
「〜っ!!」
結果、素性の知れない男性に、姿を晒してしまう。
「ん?
やあ、こんにちは、初めまして。
ひょっとして、ここの関係者さんかな?
つまり、
「(プルプルッ、プルプルッ……)」
「あー。
驚かせて、ごめんよ。
どうか、泣かないでおくれ。
ほら、これ。
君の
恐怖心から
見るからに高級そうな品を、即座に、見ず知らずの相手の為に使える。
それは、
「っ!!」
が、それはそれ。
現在この場に
よって、ドアの前で、彼女は立ち塞がる。
気分は
「……ひょっとして、アレかな?
君は、
確か、名前は……そう、
君の
噂に
正しく、現世に舞い降りた妖精さんの
「〜っ!!」
「あー、ごめんよぉ。
恥ずかしがらせる
重ね重ね、申し訳
昔から、こういう性分なんだ。
幼少の時分より、女性の扱いというのを、かなり叩き込まれたんだ。
気分を害したのなら、申し訳
この通りだ」
「(ブンブンッ、ブンブンッ!!)」
本日ニ度目の、年上からの土下座。
それも、ゴツゴツしたコンクリの上。
これは、色んな意味で、痛い。
「非礼を、許してくれるのかい?」
「(ブンブンッ、ブンブンッ!!)」
「恩に着るよ。
ありがとう、
「(グーッ!)」
「それはそうと。
最近、一緒に食事が
挨拶がてら、差し入れを持って来たんだが」
「……?」
この、
そもそも、この人は、何者なのか。
触り程度に聞いていた、『チャラい(
名字が違うのは……婿入り?
それに、
ひょっとして、昔は祖母が多かった……とか?
不審人物を、簡単に
二人が不在なら、
そう
「……ひょっとして、アレかい?
代わりに、『揚げたい焼きくん』なら、持参してある。
次からは、きちんと気を付けるからさ。
どうか今回は、これで大目に見ては
「(ペカーッ!!)」
ニッコニコで、
余談だが、数分後。
それについての謝罪を済ませてから、改めて二人で計画を練るのだった。
「いやぁ。
手間を取らせて、ごめんよ。
まさか、
もっと多く、手土産くんを用意しておくべきだった」
「(ビクビクッ、ビクビクッ!!)」
「あっはっはっはっ。
安心したまえ。
二人の分は、日を改めて、また買って来る。
どうぞ、好きに開けてくれたまえ。
彼女とは、どうも、馬が合わなくってねぇ。
音楽性や方向性ならぬ、『愛し性』の違い、とでも言うべきか。
他の内容なら、特に衝突もしないのだが」
「(パァァァァァッ……)」
「お気に召したかい?
それは
君みたいな美女にご満足頂けて、
今度、また買って来るとしよう」
「(ブンブンッ、ブンブンッ!!)
(グーッ!!)」
「あっはっはっはっ。
君は、
他の女性陣には多少、嫌われてしまったが。
これから、どうぞ、ご贔屓に頼むよ」
「(グーッ!)」
すっかり
彼女が、
かと思えば。
不意に真顔となり、立ち上がる。
「
この家を訪問した
少し、
言いつつ、自身のヨジーを持ち外に出て。
続いて、ガソリンやウォッシャー液など、カー用品を補充する。
その、キラキラした見た目にそぐわず、整備士をしているのだとか。
端正な顔と、綺麗な金髪が黒くなるのは、少し残念な気がするが。
それもそれで「ギャップ萌え」だと、
そんな彼の姿を見て、
もしかしたら彼なら、自分のも、褒めてくれるのではないかと。
クイッ、クイッと、彼の手を引っ張り。
「(ペカーッ!!)」
仮にも
といっても。
こっちもこっちで、風呂場に直結しているのだが。
「こ、これはっ……!!
美しい……!!
他の部分に、
最早、最先端の現代アート……!!
一体、誰が、これをっ!?」
「(ペカーッ!!)」
「も、もしかして、君かいっ!?
君が、これを完成させたというのかいっ!?
たった一人で!?」
「(グーッ!)」
「素晴らしい……!!
素晴らしいよ、
君は、紛れも
後世に語り継がれる、世界に
君さえ
上には
これ程に器用な君なら、いつでも大歓迎だ!!
あっはっはっはっ!!」
「(パァァァァァッ……)」
数分後。
内定が
すると、『
最早、説明不要だろうが。
現在この話は、天然オンリー、ツッコミ不在でお送りしている。
「いやぁ!
今日は、
まさか、君の
「(コクッ、コクッ!)」
「そうか、そうか!
君も、
結構、結構!」
「(グーッ!)」
最初の時とは、まるで異なり。
和やかなムードに包まれる
しかし、数分後。
それでいて、どこか寂しそうな顔色を見せた。
「……
君を善人と見込んで、折り入って頼みが
にこやか、煌びやかな雰囲気を消し。
「どうか、お願いだ。
物々しい雰囲気と違って、簡単そうなリクエスト内容。
しかし、ただ事ではないオーラを感じ、
「お恥ずかしい話なのだが。
「……っ!?」
「いや……これでは、語弊が
外食や買い食いなら、何度か
だがこの家で、手料理を振る舞った
こんな
……
それに関しては、
よって、彼女も
「賛同して
あくまでも、『可能であれば』の話だ。
お願い、
「(グーッ!!)」
「……ありがとう。
頼もしい限りだ。
今日、君と会えたのは、この上
どうか、そのまま彼を」
「
感動シーンみたいな空気が生まれる中。
帰って来て早々に、それを台無しにする
またしても
そのまま急いで靴を脱ぎ、近付き。
「あんた……!!
さては、
「(ビクビクッ!!)」
「はっはっはっ!
誤解しないでくれ、
「だ・か・らっ!!
「これは失敬。
僕は
それはそうと、
そして、女性に
女系出身が
「
もう結婚したんだから自分の奥さん、
ダイエットとリバウンド対策に、どれだけ苦労したと思ってるのよっ!?
「(ビクビクッ、ビクビクッ!!)」
正に、青天の霹靂。
先程から、
今のが一番、
てっきり、『理想的な長男』とばかり踏んでいた
その正体が、まさか、3周りは離れてそうな、
「君が倹約家
少し
「それだって、あんたの持論じゃないっ!!
固定観念の雁字搦メイトしか
しっ、しっ!!」
「(シャァァァァァッ!!)」
手で払う
「やれやれ。
君と
残念でならないよ、
しかし、女性に言われた以上、逆らえまい。
ご要望通り、今日の所は失礼するよ。
それでは、
背中越しにサムズアップし、チャラく退散する
危うく太らされていたかもしれないと知り、
「大丈夫。
大丈夫よ、
あなたの体型は、
この家に住んでる間も、その先も、
「(コクコクッ、コクコクッ!!)」
日も浅いのに、母娘の
実に絵になる光景である。
一方その頃、外では。
「あれ?
ミナミさん。
お疲れっす」
「やぁ、
お疲れ
擦れ違いを乗り越え、こうして会えたのも、
どうだい?
これから一緒に、フレンチ・バイキングにでも」
「ちょぉぉぉぉぉなぁぁぁぁぁんっ!!
「いや、
今日、3回目ぇぇぇぇぇ!!
「
「あっはっはっはっ。
今日も元気、賑やかだねぇ、君達は。
大変、結構」
三度、浅瀬で犬神家となる
確かに『日常茶飯事』とは聞いていたが。
ここまでとは、
「……」
自分は、とんでもない一家と、お近付きになってしまったのかもしれない。
そんな気がしてならない、
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