「予想を覆す展開!」って、そんなに良いことですか?

kayako

予想は裏切っても、期待は裏切るな!!


 ※2022年12月現在なにかと話題のあの作品について、あえて否定的な書き方をしています。耐え切れず吐き出したようなものです。

 不快に思われたかたはブラウザバックをお願いいたします。




 世の中には「予想を覆す展開」の作品が溢れている。

 同時に、「予想を裏切らない」王道の作品も溢れている。

 私はどちらのタイプの作品も好きだし、いずれも美点と欠点がある。

 なろうなどのweb小説サイトでよく読まれるのは、王道の異世界転生、王道の婚約破棄、王道の追放ざまぁ。

 この現象については批判意見も多々ありますが、やはり王道は安心できるし、ストレスなく楽しめる。熱さ溢れる王道ものは何だかんだで最高です。


 ただ、あまりにも予想通りの展開が淡々と続き、キャラの感情表現を始めとする演出も薄く、王道とされる展開を何となくなぞっているだけの作品も見られます。

 視聴者や読者といった受け手の予想を全く覆すことなく、王道展開をなぞるだけのキャラに感情移入できるわけもない。そんな作品が。

 なろう系作品がアニメ化した際、よく世間からはそのような批判を受ける印象。タイトルに「異世界」とついているだけで「ま~た異世界転生w ま~た俺様最強w ま~た追放ざまぁww」と言われがちなのは、「王道をなぞるだけ」の作品が多いせいなのかと思ったりします。

(原作自体はそうでなくとも、アニメ化された際にやたら作画や演出、ヘタすると物語自体が淡々としてしまい、原作までが謂れなき批判を受けるというケースもあるかと)




 それらの「王道」作品に反して、「予想を覆す展開」の作品。

 これまた、美点もあれば欠点もあるものです。


 序盤から予想を覆しまくってくれる作品は滅茶苦茶面白く感じる。

 こちらの予想を的確に裏切って感情に揺さぶりをかけてくるのだから、当然といえば当然。

 最初は神作品と思えることも多いです。

 最後の最後までそれがピッタリハマってくれるなら、その作品は間違いなく真なる神作品と言えるでしょう。


 ――そう、「予想の覆し方」がピタリピタリと最後まで矛盾なくハマるなら!!



 この「予想を覆しまくる」タイプの作品の欠点というのは色々ありますが、代表的なものはまず


「予想を覆す展開をしまくるため、受け手がそれ以上の展開を求めてしまう」


 これでしょう。

 受け手の度肝を抜くような展開を序盤にやりすぎて、ちょっとやそっとの裏切り展開では受け手が満足しなくなってしまう。

 昔のバラエティは特にそれが顕著で、視聴者の度肝を抜く為だけにひたすら出演者を執拗にいたぶる展開が多かったです。そして回を追うごとに過激化し、「なんか最初に求めていたものと違う……」と気づいた視聴者から離れていく。そして視聴率が落ちてさらに過激化……

 今じゃ間違いなく炎上するであろうバラエティ番組が殆どだった。いずれも初期は「面白い!」と感じるものも多かったのですが。


 バラエティ番組だけでなく、コメディー系の作品は全体的にこの傾向が強い気がします。

 刺激的なギャグに受け手は一時的に歓喜し、さらなる刺激を求めて作品に群がるがやがて作者にも限界がきて、作品自体が妙な方向に……というパターンはかなり多いような。




 しかし、さらに問題なのが


「予想は覆すが、悪い方向へ覆る」


 最近よく見られるパターンがコレです。

 というか、私が今まさに現在進行形で

 推 し の い る 作 品 で 見せられているパターンがコレです。

 ぶっちゃけると、これのせいでこのエッセイ書いてます。

 このパターンの連発に我慢しきれず、年末の忙しい時にこのエッセイを唐突に書いてしまっています。

 結末を迎えていない作品なのであえて作品名はあげませんが、分かるかたには分かってしまうかと。


 例をあげると

 ・主人公といい仲になりかけたキャラAさん、序盤で何と生死不明になり偽物が出てくる

(予想)⇒次かその次の話で主人公が偽物の違和感に気づいて、物語の闇に踏み込むんだろうなぁ

(実際)⇒1クール終わろうとしてるけど主人公もその周りも殆ど何も気づいてない、というかAさん存在忘れられてる?


 ・主人公と敵対関係にあったキャラBさん、色々あって主人公に惚れてる。SNSでもその挙動が注目され大人気、総集編でもナレーションに抜擢

(予想)⇒これは絶対大成長フラグ! いずれ主人公の仲間になって最強の相棒にもなるやつ!

(実際)⇒仲間になるチャンスは数あれどことごとく棒に振る。チーム戦で人数が足りない!となった時は確実に仲間になると言われていたがそれさえ不発。主人公とはろくに会話すらさせてもらえないばかりか、何もかも奪われてさらには命さえ危うくなりつつある状況に。愛されているのか弄られているだけなのか……



 一応名前は伏せたし分からないかたにも分かるように書きましたが

 分かる人には1行目で確実に分かってしまいますね!!w

 しかしこの例はほんの一部で、他にも


 ・序盤から結構な大物感出していたはず、だったけど……なCさん

 ・裏切る裏切ると散々言われていて実際裏切者だったけど決定打に欠けるDさん


 とまぁ、詳細は控えますが「悪い方に」予想を裏切ってくる展開が多すぎ。

 ビックリするような展開は多いし、「この後どうなるんだろう?」と滅茶苦茶期待させてくれるシーンも多いですが、その後不発に終わるパターンがかなり多い。早い話が、予想を裏切った後のフォローが雑。

「そうきたか! 神展開!!」ではなく、「えぇ……そっち行っちゃう……?」ということが異常に多いと感じる。

 予想は裏切ればいいってもんじゃない! 「悪い方に」「萎える方に」裏切っちゃ駄目なんだ!! それやるくらいなら王道展開でいいだろう!! 何故王道じゃいかんのだ!!?


 特にCさんについてはね……1期まで有能だったはずなのに2期で突然無能と化し、自分もろとも主人公側を壊滅に追い込んだ某マク何とかさんを思い出すレベルでね……全貌が判明したわけじゃないから詳細は控えますが。


 序盤(6話ぐらいまで)はそれでもいい感じにこちらの予想を超えてくる展開が多く、それで惹きつけられた視聴者も多かったと思います。私もその一人。

 しかしそれ以降、それまでの展開の面白さを超えよう超えようとして、かえって悪い方向に転がっている印象が拭えない。



 そしてこれらの欠点に伴い発生した大きな問題が


『キャラの感情の流れが分からなくなる』


 これです。

 超展開の為に、各キャラの性格・意思・言動・行動がそれまでの話からするとまるで意味不明になるパターン。


 主人公は前話までAさんに恋してたんじゃなかったの? ヒロインと唐突に仲たがいしたと思ったら、いきなり仲直りして抱きしめあった挙句Aさんのこと思い出しもしないの?

 主人公とヒロインの絆が主軸とはいえ、これは唐突感がありすぎる。


 さらには、とある女性キャラに昔から惚れていたはずのキャラが、彼女のピンチにも殆ど顔色を変えず「運が良ければ生き残る」旨の発言をする(しかもそのピンチを招いたのだいたいそのキャラのせい)


 細かいところでいうと、前の話で主人公の映像見て嘲笑していたはずのキャラが、その次の話では何故か「主人公、カッコイイ~!!」とか言い出している。主人公と直接会った結果印象が変化したというわけじゃなく、別の映像を見ただけで。

 情緒不安定なキャラという描写なのか、主人公の映像を見続けたら心情が変化したのか、変化があったならその変化はどの時点だったのか。というか他に描くべきこと山ほどあるのにその描写自体必要だったのか。全てが分からん!!

 Web小説でこういうキャラ出てきたら慌てて前の話読み返すレベルです。何か見落としたかと。



 恐らく制作側としては「こういうシーンを作って視聴者の度肝を抜きたい」「あのキャラがあぁすれば視聴者の感情は揺さぶられまくるだろう」という目的のもとに作品づくりをしていると思いますが、そのシーンに合わせてキャラクターが「動かされている」「ありえない発言をしている」感が強くなっている。

 いや、そのカップリングやってもいいんだ、そこを主軸にしたいのは最初から分かってるんだ、でも二人がそうなるまでの流れが唐突すぎる上に他キャラの意思を踏みにじりまくりなんだ!!と。




 さらに言うと話や世界観に謎めいた点が非常に多く、主人公自体も謎の存在。

 その謎、引っ張りに引っ張りまくって未だに世界観がろくに判明していません。

 悪い方向へばかり転がる展開、ろくに活躍出来ない人気キャラ、一向に明かされない謎。

 なろうなどのweb小説でこれやらかしたら多分みんな逃げ出すお手本のような作品かも?と最近思いつつあります。何でテレビアニメじゃ許されてweb小説は許されないんだ!?(愚痴)



 これらの不満点を全て覆すような展開が次の話で来ればいいのですが、とてもそのような尺があるとは思えない。

 次の話が年明けになる上、そこが1クール最終話。さらに続きは3か月後とか……

 第1クールは、いよいよそれまでの伏線が爆発する2クールへ向けての溜めの時期なのかも知れませんが、そこまで3か月待たされるというだけでもかなり罪深い。普通は続けてやるだろ!! 

 もっというと、何クール予定なのかもよく分かりません。今、話全体から見てどれくらいの進行度か分からないから一層不安になる。全50話予定だったならまだこの進みもアリかと思えますが、その半分だったら相当ヤバイのではと。

 スタッフでさえ分かっていない説が自分の中で信ぴょう性を帯びつつあります(笑えん)



 あと話は微妙にずれますが、キャラクターが多すぎて渋滞を起こしている感も凄い。

 意外な展開の為に新規キャラを大量に出して、遂に死亡要員のモブキャラが出てきたか……と思いきや結構な頻度で出張り、序盤からいる他キャラの出番を喰らいまくっているパターンも。

 そこそこの出番も台詞もあるのに未だに名前覚えられないキャラも多い。酷いケースだとキャラが似すぎていて見分けがつかないことも。

 まどマギが1クールでキレイに終わったのは、キャラ数を絞ってそれぞれのキャラをじっくり描けたからだとも思っています。エヴァが人気だったのは、世界観に比してキャラ数はそこまで多くなかったからというのもあるだろうし(だからこそ急に新規キャラが増えた新劇場版Qは批判が多かったのかなと思う)

 戦争ものやデスゲームものはキャラクター多いけど、大抵の作品はそこまでキャラの渋滞を感じないのは、ある程度途中で×されるからかなぁと。



 キャラの感情の流れや行動が意味不明になる唐突展開は悪でしかありません。

 特に、それまで丁寧に描いてきたはずのキャラの想いを踏みにじり、特定のカップリングを強引に成立させてしまうような展開は、その展開で成立してしまったカップリングのファンすらも不幸にしかねない。



 問題の作品はまだ結末を迎えておらず、全てを論じるのは時期尚早なのでこれ以上は控えますが……

 ともかく、「受け手の予想を覆す展開やれば後はどうなってもいい」という考え方は滅びてほしい。これに尽きる。

 王道は王道だから王道と言われる。それを無視して、受け手の裏をかく斜め下の展開ばかりを続けるのは悪でしかない。

「視聴者がSNSでこう予想してるから逆をついてやろう」とやってるんだとすれば本気でやめてほしいです。


「予想を覆す展開」「視聴者の裏をかく展開」をやりまくって大失敗した作品がすぐ前のシリーズにあるのになぁ……あれで大炎上して懲りたんじゃなかったのか。

 ともかく、あの作品がこれまでの全ての不満をぶち壊し「文句なしに真の神作品!!」となり、このエッセイを笑い話にしてくれることを祈ります。




 というか。

 Web小説の書き手は、タグやら何やらで性描写残酷描写の有無は勿論、時にはハッピーエンドかバッドエンドかも百合かBLかもざまぁ展開の有無まで明示しなきゃならんというのに。読み手少ない中で四苦八苦してるというのに!!

 なんで万人が見る可能性のあるテレビアニメは、先の展開一切黙りこくってても許されるんですかね?

 いや、これに関してはなろう(を筆頭としたweb小説サイト)の方がおかしい気もするけど! 普通のアニメや漫画じゃタグなんかないのが当たり前だぞ!と言いたいけど!!

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