檻の中

@cafe_mocha

檻の中

 見世物として、毎日何体もの動物たちが連れられてくる。


 檻の向こう側の彼らは、よく動き、よく吠えた。そいつらを眺めながら食事をとるのが、私の日課だった。悪趣味だと思うかもしれないが、食べるものに困らず、働きもしない私にとっては、よい暇つぶしだった。何もしなくとも、毎日健康的な食事が用意され、安心して眠ることのできる寝床が確保されていた私は、それくらいしかすることがなかったのだ。私を飽きさせないようにとの館長の配慮なのだろうか、動物たちはみないろいろな種類の衣装を身にまとわされていた。


 なかには、毎日連れて来られる動物もいた。きっと館長のお気に入りなのだろう。私は、その館長のお気に入りに手を振ってみた。すると、動物たちは、驚いた素振りを見せた後、以前よりもうるさく吠え始めた。私が手を振ったことに彼らは反応したに違いなかった。手を振り返すものまでいたので、彼らの知能の高さに驚かされると同時に、檻の向こうに追いやって見世物にすることに少しだけ罪悪感を抱いた。


 昼ごはんの木の実を食べ終えた私は、木の上に上って少しだけ眠ることにした。安定した場所を見つけて目をつぶる。そしてこれからの生活を想像した。


 明日も明後日も、二足歩行の動物たちは変わらず檻の向こうにいる。

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