平穏

そこには、一人の青年と一匹の見目美しい白銀の竜がいた

一人と一匹は友達だった、青年の旅の先で出会い、やがて友情が芽生る、そして

行動共にすることになった、それはそれはとても楽しい旅であった。

でも、そんな旅は続かなかった。一人は道中の戦いで命を堕とし、

一匹は囚われの身になてしまった.....

一匹の見目美しい白銀の竜は悲しんでいた、友を亡くし自分は永遠に解き放たれることの無い牢獄に閉じ込められたからである。

竜は待っていた、一人の青年が、嘗ての友が自分を迎えに来てくれることを願って

永い眠りにつく。

その青年はもういないのに.........


「モラちゃんみてぇ!ばぁー!!」

「ぎゃーーー!やめてぇ~きもぢわるしぃいいぃ!」

「あははwほんっと虫が苦手だね」

「もうルナ嫌い!ふんっ」

「えぇえごめんてぇ許して」

「おやつルナの分くれたらいいよ」

「ぐうぅおやつぅ」

「じゃぁ許さない」

「わかったよ!あげるよ、だからねぇ?」

「いいよ許す」

「僕のおやつぅ、、」

「ルナが悪いもん反省しなさい♪」

「はぁ~い」


ルナとモラは森の中で遊んでいた。

二人は幼馴染で毎日よく遊んでいる、今日はルナの祖父エイデンにまた魔法を見せてもらう約束をしていたが、エイデンが用事で出かけてしまったため仕方がなく、

森の中で二人で遊んでいた。


「ねぇあっちに川あるからそっちで遊ぼうよ」

「いいねっ!いくぅ~」

「んっ?」

「どうしたの?ルナ」

「いやなんかいたような...」

「えぇ、やめてよぉ」

「いや、確かに見えたんだけど.....まぁたぶん気のせい」

「ならいいんだけど」


何か不穏な予感がする、


「ねぇやっぱさ、なんか変なんだ」

「なにが?」

「背中がもぞもぞするんだ」

「寒いのかな、大丈夫?」

「まぁ大丈夫だよ、でも少し気持ち悪い」


ルナの様子が変。

いやな予感する、先ほど見た≪何か≫が関係してるのだろうか....

モラはすごく不安になっていた、


「!!っモラちゃん危ない!」

「きゃー!」


突然何かが襲ってきた、ルナはとっさにモラを庇い

何かにぶつかった。

とっさに受け身を取り、体制を立て直してふと見上げると、

そこには大きな口に鋭い牙、四つの目、赤黒い体毛

大きな熊の姿をしたモンスターが立っていた。


「ルナ!」

「うっ!.....はぁはぁ、、、」

「モンスターがなぜこんなところにいるの?!」

「モラちゃん逃げて!早く!」

「ルナも一緒に!」

「だ、だめあいつ僕を見てる,,,だから一緒に行ったらモラちゃんまで,,

!!!うっ!危ない,,」


会話の余裕もほとんどない、そのモンスターはよだれを垂らしこちらを睨みつける。

きっと空腹なのだろう、太古の昔からモンスターは”なぜか”狂暴な種がほとんどで、

中には温厚なものもいるがめったにいない。

それに加えて人間を好き好んで襲っては食べている、なぜそうしているのかはいまだに、解明されていない。

学者たちは動物の食物連鎖と同じでたまたま捕食対象派が人間なだけだということにし、片付けた。


「僕は、、こ、こいつの気を引きながらなんとか逃げまわっっんっ!!

逃げ回ってるからモラちゃんは助けを呼んできてほしい!」

「でも、!」

「いいからはやく!!!!!!」

「わ、わかった」


モラは全力で走った、振り向いてはいけない、一秒でも早く助けを呼んでこないといけない、そんな思いで村へと走っていった。


「.....どうしよう、うっ!,,さっきので、」


ルナはさっきぶつかった衝撃でからあを痛めていた、


「とりあえず、土とあっちの泥でにおいを逃げながら、体につけて匂いを消して隠れないと、うっ!よっ! 体が大きいのに早い....!はぁはぁ、、、」


ルナは小さな体を生かし精一杯モンスターの攻撃を間一髪でかわし、

逃げ回っていた、幸いなことにモンスターは空腹なのか冷静ではない様子だった。

そこに漬け込みルナは、逃げ回り言ったと通りに体に土、泥、その他の物に

体をこすり自分の匂いをいろんなところに、つけるのと同時に

自分の匂いも消していた。

そうすることによりより隠れやすくなる、これは父エリクから

教わったことである。


「痛い、怖い、....なんで、はぁはぁ こんな、ことに!

このまま逃げ切りたい、、、、やだよ、もうやだ....

お父さんお母さん、じぃじ....たうけっあっ! 

危なかった、」


場所がばれた、爪が長い大きなうでをルナが隠れていた木に、

思いっきり振り下ろし、ルナをつぶそうとしたがそれに気づいたルナは

まともや間一髪でよけた、しかしルナはまだ子供さすがに体力の限界が来る

疲労、不安、恐怖、ルナは精神的にかなり参っていた。


「はぁはぁ、もう駄目だ...体がもう動かない、はぁはぁ、」

「グルルルルrrrrグア゛!!!」

「あ゛あ゛あ゛」


モンスターは大きな腕でルナを殴り飛ばした。

岩に衝突したルナは、体の骨がいくつか折れていて、

それに付け加えて殴られたられたときに、鋭くも長い爪が

腕、顔の皮膚をえぐり左腕に関しては反対に折れて避けていた、、、


「いたい、いたいいたいたいたい!あ゛あ゛あ゛、やだ!!やだ!死にたくない゛

せめて、、、!助けが来るまでの時間を,,,,,ま、魔法だ、じぃじが教えてくれた、

見せてくれた魔法を゛んあぁ゛あ゛あ゛!火よ゛!業火の球根になり゛!

やつを燃や゛せ、、ぐあ゛っ」


魔法は不発した、というより詠唱が終わる前にモンスターはルナにもう突進し、

右腕を食いちぎっりその瞬間に魔法の不発による爆破が起きた。

そのせいでルナは両腕損傷、腹部、背部の骨折、全身の大やけどを

おってしまった.....


「ぁぁぁ、いたい、あつい....いし.....きが....ぼ...くは」

「る.......!!しっかり!.....くs!..................」

『誰だろう、あぁ誰かが叫んでる、誰だろう、僕はどうなったんだろう......」

「いやし.......かのも......」

『温かい、』

「マリア......デン」

『意識が.......』


気づくと目の前には綺麗いな花畑があった、

そこは一言で言い表すなら楽園

それぐらい綺麗いなところだった。


『大変な目にあったね、ひどいケガだ可哀そうに.....

喋れないでしょ?ここはそういう場所さ。

今回は結構はっきりと私を感じてるね』


綺麗な女性がいた、色白で白銀の花のような女性だった。

彼女はこちらを見つめてくる、そのまなざしは温かくも

少し悲しげだった。


『探すのに結構時間かかったんだよ?ねぇ君は.....

やっぱ何もない、そろそろお目覚めの時間だよ

次はもうここに来ることはないようにね、』


少年にはさっぱりだった、その女性もこの場所についても

今の自分の状況についてもさっぱり何一つ理解できなかった、

でもなぜか悲しくも、うれしくって、温かった


...............................................................


『懐かしいなぁ、生まれ変わっても君は災難な目に合うんだね、

頼むから私のもとへ来るまでは死なないでいてね、私の大切な人よ

あと何年.....この牢獄の中にいればいいのだろうか。

早く来てよね』


昔ある人が言った、この世の生物は輪廻の中でまた生まれ変わると、

それはどの生物にも備わっている運命というものだ、

ただまれに、本当にまれに前世の記録を受け継ぐ者がいる

そのものには、他にはないオーラや魂の形をしているという。

それを長寿の生物の中に感じ取ることができるものがいると言われている。


「ねぇねぇ、ルナはいつ起きてくるの?」

「それは儂にもわからん、ただ時を待つしかないわい」

「しっかし良かったお父さんが間に合ってくれて、何とか一命をとりとめた」

「そうね」

「エイデンさん、ルナはちゃんとおきるよね...」

「あぁきっと、必ず起きてくるじゃろ、だから心配せずにもう寝なさい」

「うんわかった、」


今宵は満月の空、その月が照らす台地には奇跡が起こるという。
















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その旅の果てで @komugi2525

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