「休日は何をされてるんですか?」

 麻衣はいつもの八十八番ブースで休憩している。ほんのりとたばこ臭い、薄暗い照明の下。レースのスカートとブラウスの婚活コーデで、手には自分のプロフィールカードを持っている。主催者の呼びかけが聞こえる。「それでは男性の方、席のご移動をお願いします」扉を開けて入ってきたのは、微笑んだ高橋だった。チェスターコートがよく似合っている。お互いのプロフィールカードを交換すると、麻衣は小首を傾げて問いかけた。


「休日は何をされてるんですか?」



 話が弾む。麻衣も高橋も笑っている。いつのまにかやってきた川野や店長や広田、パートの主婦や大学生たちもみんな拍手で祝福している。二人は見事「本日のカップル」として成立した。

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