結集
すまなかった、とラマナは両手を合わせた。
「何らかの報いはあると知っていたが、きちんと説明せぬままにした。それは申し訳なかった。
これをやる、と腕になにかを
「リンモが治める水の底から拾った石じゃ。助けが必要なときは念を込めよ」
「身に着けるのが増えてくんだけど。アニロン人て、へんなの」
「見えないものを信ずるからこそ、見えるものに願いを懸けるのじゃ。そのほうが想いを乗せやすかろう?」
「そうゆうもの?」「そうゆうものじゃ」
いつものように男物の衣服、四つ耳の毛帽で頭半分を隠し、ンガワンの馬に同乗する。
「嫁らと息子は頼んだ」
「安心おし。後のことはすべて任せよ。――右肩に
「姉上にも」
馬は一気に駆け出す。王都を端目に丘を抜け、湖を越え、森を過ぎ、東へ。ツェタルには分からなかったが、景色は草原から徐々に砂利地へと変容し土埃が立ってきた。そのうち、後方から複数の
「来たな」
「……?なに?」
「味方だ」
風鳴りを割り裂き両側から続々と群れが寄り集まり、そのうち二、三騎が近づいてきた。
「――――今日までに集まった友軍は二万二千です」
「すっくね」
「反乱軍は総勢五万。我らは急襲で七百失い、さらに一千兵が捕縛され監禁されております。一万は都に駐留したまま城を牽制監視しつつ、市街戦になるならば撃って出ます。
「各領地から連絡も来ました。近隣主軍一万八千は道すがら参入してくるでしょう」
「総じて四万余、なべて騎馬。勝機はこちらにあります」
フン、とンガワンは鼻で笑った。「どうやらアニロン兵に腰抜けはいねえらしい」
「とはいえ、元ヒュンノールの各地方兵舎には三十万兵おります。そのほとんどすべてがヒュンノール人。もしも彼らがすべて反乱軍側であれば応援に駆けつけてくる可能性も」
「ヒュンノール人といっても氏族はバラバラの寄せ集めだ。俺たちの中にだって元奴隷は混じってる。一概には言えん。とにかく急いでセンゲを取り戻す。……と、その前に」
ぴぃん、と高い
「――伏兵!数およそ二百!」
「ニェンドン隊百で足止めします。我らはこのまま先へ」
「おう」
「え、置いてくの⁉」
激しい揺れのなか、ンガワンに
「待ち伏せされているのは分かってました。それに我々は
「大丈夫なの?」
「チビ、戦に大丈夫なんてねえ。知ってるだろ――てめえら、前からも来たぞぉッ‼」
殺伐とした鞘走りが一斉に響いた。
「死んでも掴まってろよ!」
「死にたくない!死なない!」
「突っ込め――――‼」
交差する馬と人の群れは激突した。
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