八章
簒奪
「城の中の味方と連絡を取るのは難しいかと」
「だろうな。
「すぐに馬を走らせます」
「くれぐれも気をつけろ」
影が散るのを見送り、ンガワンは頭の中で指を折った。正月に会った地方の領主たちや彼らの兵数を思い出し、今後の算段を組み立てながら遠目に城門を窺おうと路地を横切った。
ドン、ドン、と地鳴りのような太鼓の音が響いた。
何事かと集まる人々、兵らに守られた壇上にうなだれた白い服の
「我らが
開口一番叫んだのは裏切り者メフタス。ざわめく群衆に呼びかけた。
「ヒュンノールを打ち破った勇敢なる
膝を落としたシェンラプは一度顔を覆い、それから両手を天に持ち上げた。
「全ては神々の大いなる導きのもとに
白い男は引き摺られて姿を消し、メフタスは次に鳥籠を持ってこさせた。鉄の檻に詰め込まれたオオタカは暴れたが掴み出され、ささくれて傷んだ羽でよめきながらなんとか逃げ去る。
その
ひとつの白い
「センゲ・オーカル様は崩御され、すぐに葬儀が執り行われる。しかし皆の悲しみはすぐに癒されよう。幸運なことに我々は新たな
ンガワンは瞬きを忘れてメフタスの言葉を聴いていた。
「名はクンナク・トトリ・ユルスン様!新生アニロンの
国父たる主おいでましまして、靴の先を
転がる
地父、いま火炉を下に据え、銅鉱石を
二本足で立てるもの、
「
別の声が小さく言った。
「あたしは
向かい合う二人の女は椅子の肘掛けに座り、中心で腰を下ろした主にしなだれかかって腕を絡めた。
「あたしたち、わがまま?」
「……いいや、あげるよ。好きなものを好きなだけ。
上の空で答えた青年はぼんやりと闇を見つめた。
チティが笑う。
「そうよねえ、ユルスンが欲しいのはこのなかにないもの」
「ないもの」パティが眠たげに目を擦った。
「そうだね。でも手に入るかな」
チティとパティは人差し指で
「あんたはなんでも手に入れてきた」
「いれてきた」
「だからきっと向こうからやってくる」
「くる」
わずかに射し込む光を見上げ、
「ああ……今か今かと待っているよ。待ちきれないよ」
「だいじょうぶ。すぐよ」
「すぐ」
「何にする?
「
そうだなぁ、と頬杖をついた。
「――――
すてき、とチティは手を打ち叩き、パティは楽しみ、と
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