二章
王都
リメドは馬で半日と言ったが知らない土地で迷いに迷い、ひとつふたつ山を越えた先の谷にようやく群落が見えたのは一昼夜経ってからだった。来る途中のどこよりも街が大きく、何より谷の中心にある小高い山にとびきり大きな家がへばりついていたので、きっとあれが王城なのだと確信した。
「ごめんな」
無駄に馬を疲れさせてしまい詫びながら鼻面を叩くと、もときた坂をとことこ下りていった。最初から馬に案内させればよかったかもしれない、と思いながら反対の道を進み、ついに人の往来が盛んな市街に入った。
昼近い大通り、だれも
それにしてもへんなの、と観察する。白と
山の傾斜にしたがい段々に建っているアニロンの城の、街に最も近い
一旦大通りまで戻る。忙しそうに動き回る露店の店主に声をかけた。
「おじさん、ヒュンノール王の首はどうなった?」
「ああ?」
睨んだが、子どもと分かり作業に戻る。
「ねえ、ねえってば」
「うるせえなぁ。城門の晒し首?そんなもの、とっくに降ろされて焼かれたぞ。なんでいまさら」
店主がもう一度目をやると、すでに子どもはいなくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます